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〈ステットソン〉のハットと〈レスカ〉の眼鏡。宮脇 誠の妄想、将来ヴィンテージ

味がある古着を買うのもいいけれど、自分で価値を見出したものを、じっくりと時間をかけてヴィンテージに育てていくのもロマンがあっていい。作家やショップオーナー、デザイナーなど目利きが手に入れた現行品をネタに、20年後の姿を妄想してみた。

Illustration: Kazutaka Tsugaoka / Text: Toromatsu

自分のシワや白髪とともに
経年美化できる小物類。

今がベストなものではなく、10年、20年使うことでより良い風合いになっていくものかどうかが僕のもの選びの基準です。パリに住んでいた頃に、着古したハットや個性的な眼鏡が板についた偏屈そうなお爺さんをたまに見かけていて、いつかこんな大人になりたいなって思っていました。

クラウンが崩れていたり、プリムが傷んだりしているハットって、若いときに被ってもカッコつけてる感が出るじゃないですか?50歳を手前にしてそろそろいいかなって買ったのがこの〈ステットソン〉です。

STETSONのハットのイラスト
STETSONのハット
アメリカの元祖ウエスタンハットメーカーとして知られ、150年の歴史を誇るブランドの定番ファーフェルト中折れ帽。しっとりした質感とクラシカルなクラウンはまさに普遍的。

これからずっと被り続けて、近所の人や仕入先なんかで「あのハットの人ね」なんて言われていたら嬉しい。忘れっぽくなってどこかに置いてきても、裏側に名前と電話番号を書いているから大丈夫(笑)。

眼鏡に関しては、憧れはあったけど目が良くて掛けられなかったんです。スマホ画面が見にくくなってきたので老眼鏡として〈レスカ〉の「フィル」を新調。見た目より若く見られがちで、職業柄損することが多く、いずれこの2品と白髪とで貫禄を出していたい。

LESCAの眼鏡のイラスト
LESCAの眼鏡
フランスで1964年に誕生したブランドの、レンズ直径45㎜というビッグシェイプ丸眼鏡「フィル」。建築家フィリップ・ジョンソンが愛用していたことがモデル名の由来。