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スタンドの洋食店2選。デパート食堂をルーツに池袋に根づく定食文化

いつの時代も、洋食は人々の胃袋を満たしてきた。洋食の大衆化とともに歩んできた、百貨店のお好み食堂にルーツを持つ洋食スタンドを紹介する。

photo: Shin-ichi Yokoyama, Kazuharu Igarashi / text: Koji Okano

百貨店の大食堂や〈聚楽〉などが推し進めた、洋食の大衆化。さらにカジュアルな形態として登場したのが、カウンターで肩肘張らずに、味噌汁や白米とともに洋食が楽しめるスタンド形式の店だ。

キッチンABC 西池袋店(池袋)

中でも池袋には、今はなき手芸用品のデパート〈キンカ堂〉の食堂にルーツを持つ洋食スタンドが点在しており、その中心的な存在が〈キッチンABC〉。

1969年にこの会社を立ち上げたのは、〈キンカ堂〉食堂部の元役員・稲田義治さんと、元料理長・中野政夫さん。一番出るメニューは、オリエンタルライスだ。キンカ堂で人気だった、ニンニク&ショウガ醤油風味の焼肉を引き継いでご飯にのせた料理で、これに黒カレーをプラスした一品も好評を博している。

1号店は1969年開業の要町店(現在は閉店)。西池袋店は92年に開業した。肉と豆腐をニンニクが効いた特製タレで煮込んだジャンボ焼も人気の皿。

ランチハウス ミトヤ(池袋)

一方〈ランチハウス ミトヤ〉は、キンカ堂の流れを汲むスタンド〈洋庖丁〉から暖簾(のれん)分けを許された店。こちらも看板メニューは野菜と肉のたれ焼き定食で、やはり醤油の風味がご飯を進めると評判。ほかにも人気なのが、生パン粉で衣付けし、ラードで揚げるフライ類。ベシャメルソースから手作りするカニクリームコロッケはコク深いのに後味は軽く、とりわけリピーターが多い皿だ。

1999年創業。野菜サラダのドレッシングはもちろん、タルタルソースはマヨネーズから手作りするなど、細部にもこだわる。