水道橋〈焼肉立屋〉
牛を1枚単位でオーダー。
一人でも、さまざまな部位を味わいたい。その欲望を満たしてくれるのが、水道橋の〈焼肉立屋(たつや)〉。「赤身に稀少部位、ホルモンまで、肉はすべて1枚から提供可能です」。店主の金子達矢さんは、人気店〈焼肉チャンピオン 恵比寿本店〉の初代店長。当時と同じ卸から仕入れるのは、A5ランクの和牛だ。「新鮮な状態で食べてほしいから、少しずつ切って出したいんです」。1枚からのオーダーは、金子さんの理想とする提供法に適っている。
タンに青唐酢、塩のサガリ・ランプにはわさびなど、少量注文でも、しっかり調味料や薬味を添える。さらにチャンジャや島のり明太子などの惣菜が次々と供されて、至れり尽くせりだ。食べて飲んでも客単価は約6000円と、懐にも優しい。
恵比寿〈焼肉一七三〉
10g単位で注文できる、塊肉の旨味を独り占め。
焼肉店の盛り合わせは、一人客の心強い味方。しかし正肉とホルモンの合い盛りでないことが案外多い。こちら〈焼肉一七三(いなみ)〉の一七三盛りは両方の肉の部位が揃い、ハーフサイズも注文可能と便利だ。
また店主の稲見昌克さんのイチオシが“塊のハラミ”。注文後に赤身とサシのバランスがいい和牛からブロックを切り出し目の前の鉄板で豪快に焼いてくれる。一人で塊肉はハードルが高い、と思った人もご安心。
「1人前100gから、10g単位で注文できます」。脂を湛えたハラミには、ガーリックバターと醤油をトッピング。ヘビーな組み合わせも、赤身の味わいが上品で、さっぱりと食べられる。追加で頼む単品の肉も、ハーフでオーダー可能。お一人様には嬉しい心遣いが満載だ。
恵比寿〈カウンター焼肉 ふかみ〉
ダレ片手に、“一人赤身肉”に没頭。
健康志向の高まりで、赤身肉が注目されて久しい。だが大勢で焼肉となると、カルビやハラミが人気者に。赤身をるなら、案外一人に限るのだ。こちら〈ふかみ〉の店主・深見耕平さんは、高校時代にアメフト日本代表だった御仁。「高タンパクな赤身の前に、定番のタンをどうぞ」。厚いタン元とタン下に潜む、細かなサシ。サーロインやホルモンなしでも脂の甘味は楽しめる。
そしてモモ肉を焼けば、カメノコは赤身のコクが濃厚で、トモサンカクはサシの旨味がふわりと。赤身といえども、食感や味わいは多彩だ。その滋味を引き出すのが、タテギ入りのフルーティな生ダレ。サラリとした甘味が肉の味わいを強め、唐辛子の刺激が「もう一枚!」と、赤身肉への欲望を掻き立ててくれる。
大井町〈たれ山 大井町店〉
京都の味噌ダレで一人メシが止まらない!
タレ×ご飯は焼肉党の大好物。無心で白飯を掻き込みたいと、一人で焼き台に対峙する人も多い。予約のとれない吉祥寺〈肉山〉の姉妹店〈たれ山〉の最新店が、2021年5月、大井町に開業。看板に「焼肉とご飯」を謳って、一人客を歓迎する。
〈たれ山〉の味噌ダレは、上カルビやハラミ、リブロースなど、脂の濃い部位ほど旨味を引き立てる。白飯と一緒に食べても疲れや飽きがこないのは、口当たりがソフトだから。「京都出身の料理長・櫻川大地が、地元の老舗の白味噌を取り寄せ、天然の甘味を駆使して完成させたタレです」と、店長・阿多徹さん。ホルモンにもみ込んで焼くと、香ばしい焦げの風味でご飯が進む。卓上の甘くスパイシーな“ニラダレ”も足せば、肉と白飯の追加オーダー必至だ。