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ヨモギヤ代表・中村直弘のキャビン。室内6畳、デッキ6畳。最小限の暮らせる小屋

車輪が付いていて移動できれば、家ではなく「車両」だし、用途地域にもよるけれど、10㎡以下なら建築の確認申請が不要。そんな、規格外に小さく、オフグリッドな居住空間の可能性を、中村直弘さんに聞きました。

illustration: Natsuko Kawatsu / text: Tami Okano

移動もできるハーフビルドのタイニーハウス。
data 小屋本体の建築面積は3m64㎝×2m73㎝の約9.9㎡。本体価格195万円(税別)〜。各種申請費用、基礎工事、内部造作、ウッドデッキ、設備工事は諸条件によって変わるため別途見積もり。

もっと自由でもっと小さなキャビンを考える。

北海道は夕張で「町の大工」として活動するする中村直弘さんが提案するのは、室内わずか6畳ながら、台所もトイレもソファベッドも、浴室以外必要なものはすべて備えた「暮らせる」小屋だ。

6年ほど前に自宅の敷地内に建てたモデルハウスは、現在中村さんが事務所として活用している。

「建築の確認申請が不要な10㎡以下の最大値で6畳にしたのですが、このサイズは一般的な木材の規格にも合っていて施工も合理的」

ガスはプロパンガス持ち込み。水道はタンクからの足踏みポンプでトイレはコンポスト。電力は蓄電式ソーラー発電システムが基本だが、中村さんの小屋では、既存電力とレバーで切り替えられるようになっている。興味深いのは、中村さんが小屋だからこそできる「贅沢」があると語ることだ。

「この小屋は断熱材に自然素材のウッドファイバーを使っています。一般的な断熱材より3倍近く高いけど、量が少ないので全体で2万〜3万の違いで収まります。外壁を焼き杉にするなど、小さいからこそ質を上げることもできます」

用途が限定「できる」と捉えればそれもまた別の豊かさに繋がる。

「小さければ小さいほど目的と存在理由が明確になるので、振り切って夏用の、とか読書用の、など個人のニーズでいくらでもアレンジ可能。その意味でも小屋は自由だし、贅沢だなって思います」