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ジャズをもっと気楽に語れるように。SIRUPが選ぶジャズアルバム3選

今、ミュージシャンが一番夢中な音楽、それはジャズかもしれない。ロック、ヒップホップ、R&B……音楽家は、その魅力をどう捉えているのだろうか。シンガー・SIRUPにおすすめの3枚とともに大いに語ってもらった。

photo: Wakana Baba / text: Shunsuke Kamigaito

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ジャズをもっと気楽に語れるように

僕のルーツであるネオソウルは、ソウルにジャズやヒップホップなどの要素が加わって誕生した音楽。だからジャズからも間接的に影響を受けている感覚があります。ただ、いわゆる“名盤”を熱心に聴いていた人間ではないので、語るのには勇気がいるジャンルなんですよね。

一方で僕は以前、ジャズトランペット奏者のロイ・ハーグローヴとセッションしたことがあって。その時はジャズとかソウルとかを気にせず交わることができたんです。ロバート・グラスパーがジャンルの壁を越えたように、音楽性にかかわらずもっと気楽にジャズの話ができればいいですね。

SIRUPが選ぶ、おすすめの3枚

Q1:オールタイムベストは?

『Black Radio』Robert Glasper Experiment

エリカ・バドゥやレイラ・ハサウェイ、ビラルら、ネオソウル界で活躍するレジェンドも多数参加している作品です。ジャズ、ヒップホップ、ネオソウルがリアルタイムで融合しており、単なるジャンル間のコラボレーションというよりは、全部を同時に感じられるようなアプローチになっていて驚きました。

Q2:昨年一番聴いたのは?

『Lahai』Sampha

ロンドン出身のシンガーソングライターであるサンファが、2023年に発表した2ndアルバム。ジャズとソウル、そして自身のルーツである西アフリカ音楽を織り交ぜながら新しい挑戦をしているところが好きでよく聴いていました。洗練されたコードにも、ジャズからの確かな影響を感じ取ることができます。

Q3:これからジャズを聴く人へのおすすめは?

「Summertime」Sarah Vaughan

この曲は多くのシンガーによって歌われているので、タイトルを知らない人でも一度は耳にしたことがあるはずです。特にサラ・ヴォーンの歌声には哀愁が漂っていて、そこに自分の寂しさを重ね合わせることができるんです。音楽を好きになるうえで、共感できるかどうかが大きなポイントだと思っています。

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