Eat

Eat

食べる

カレー専門店じゃないけれど。あの店の名物〆カレー Vol.3〈しのだ家〉〈ブンカ堂〉etc.

カレーの専門店ではないけれど、旨いと評判のカレーがある店。最高の食材、極上のだし、専門分野の調味料を使い、研ぎ澄まされた技術で仕上げられた唯一無二の味は、看板メニューとして供されることも。食べずして帰れぬ味に、カレーの奥深さを感じずにはいられないのだ。

photo: Yoichiro Kikuchi, Shin-ichi Yokoyama, Hiromi Kurokawa / text: Haruka Koishihara, Koji Okano, Ayako Takahashi / edit: Haruka Koishihara

しのだ家(東銀座)

醤油ではなく味噌でいただく、スパイスも香る卵かけご飯

「〆鯖と香味野菜の胡麻和え」に「薫製かまぼこ」。飲ん兵衛の心をくすぐる品書きで、界隈の客に支持される〈しのだ家〉。「卵かけごはん -カレー味-」は「タイ風カレー鍋」のカレーペーストを卵かけご飯に加えて提供したところ好評で、〆の定番になったそう。

炒めたタマネギにカレー粉と白味噌を加えたペースト状のルーを卵黄とともに雑穀米に絡めれば、未体験の濃厚さが漂う。味噌のコクとスパイスの辛味が生むリッチな味わいは、〆ではなく、酒の肴にもなり得るほど。おすすめは自家製の「こうひい焼酎」。深煎りコーヒーの風味がスパイスの香りを引き立ててくれる。

東京〈しのだ家〉卵かけごはん カレー味
卵かけごはん -カレー味-500円。味噌、みりん、酒といった和の調味料が効いたペーストは、恐るべき旨味の凝縮感。合わせるなら、こうひい焼酎450円(ロック)を。+200円でアイスクリームのせも可。
S&Bの赤缶カレー粉、信州白味噌
S&Bの赤缶カレー粉を使用。味噌は信州白味噌。炒めたタマネギに加えたら、とにかく水分を飛ばして味を凝縮する。

ラ・ファソン古賀(代々木上原)

どこまでも体思い、毎日食べたくなるフレンチカレー

40年以上フランス料理一筋、その伝統の味に磨きをかけ続けるオーナーシェフの古賀義英さんが行き着いたのは、体に良くて飽きのこない正統派フレンチ。そして「ソースがあることが前提」と語るフランス料理の、味の要である「だし」のおいしさを存分に味わってほしいと作ったのが、このソースキュリーだ。

東京〈ラ・ファソン古賀〉栃木県〈海老原ファーム〉から届くその時季のおいしい野菜
栃木県〈海老原ファーム〉から届くその時季のおいしい野菜をローストし、彩りよく盛り付ける。ディナータイムには、甘味が強く香り高い佐賀県産の「さがびより」を土鍋で炊く。

和牛スネ肉とたっぷりの野菜をしっかり焼いて9時間ほど煮込めば、旨味と甘味が凝縮したクリアなだしができる。一切の油分を除きカレールー、スパイス、赤ワインを加えると、コクがあるのにサラサラ、甘味もあれば辛味もあり何度でも食べたくなる“最高のソース”が完成する。

東京〈ラ・ファソン古賀〉フレンチカレー
正統派フランス料理店を象徴する真っ白なテーブルクロスに、シルバーのカトラリー。ソースキュリーは陶器のポットに入って登場。食べる直前に注ぐ。ソースキュリーはランチコースのメインに選択可能。ディナー時はコースに1,430円で追加できる(要予約)。

ブンカ堂(京成立石)

酒場タウン・立石の和やか酒場で酒飲みのハートをつかむルーカレー

昔ながらの名店がひしめく街・立石に2018年に誕生した、新しいコの字酒場がこちら。街の“末っ子”キャラながら、愛されてスクスク人気店へと成長中だ。立石で生まれ育った店主の西村浩志さんが作るつまみは、さりげない中にも飲ん兵衛の心をくすぐるもの揃い。その中でネーミングまでもお見事なのが、この「カルー」。そのココロは「ルーだけだから」!

しっかり炒めたタマネギとニンジン、豚肉はどれもすっかり煮溶けているから、ルーをなめなめ酒をぐびり、という“ルー飲み”ができる。オレンジワインにしようか、あるいはにごり酒の燗酒もおすすめだ。

焼鳥やおや(池尻大橋)

カジュアル&活気アリ、
な焼き鳥酒場で愛されるチキンカレー。

最近はおまかせコースのみの焼き鳥店も多い中、アラカルトで自由にオーダーできるうえ、ひとひねりした一品料理やアルコールも大充実と、食いしん坊&飲ん兵衛思いの〈焼鳥やおや〉。焼き鳥店の〆といえば丼類がメジャーだけれど、カレー好きな店主・遊津拓人さんは「スパイスの存在感を感じさせつつも辛すぎない、みんなが食べられるカレーを」とレシピを考案。

東京〈焼鳥やおや〉タンドリーペースト
鶏もも肉はタンドリーペーストに丸1日漬け込んで、味と香りをしっかりと馴染ませる。

リンゴやヨーグルトを加えてアレンジしたペーストに鶏肉を漬ける、仕上げにはバターとゴマ油でテンパリングしたスパイスを加えるといった工夫を施す。まろやかな中にもトマトの酸味が爽やかなルーは、自然派ワインとよく合う。

東京〈焼鳥やおや〉やおやのチキンカレー
やおやのチキンカレー990円は盛り付けが華やか!お店おすすめのワインは、スパイシーな香りと紅茶のような余韻がある、ジョージア・ムツヴァネ種の白。1,000円(グラス)。