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杜の都でしか見つからない真のヴィンテージと幻のホリパン。仙台〈True Vintage〉

ここ数年、空前の古着ブームが巻き起こっている。都内はもちろん、その流れは全国に波及し、最近ではローカルの街にも老舗から新店まで、独自の世界観を尊重した感度の高い古着屋が増え、注目を集めている。特にこの〈True Vintage〉は、古着の“今の魅力”を知るには最高のお店だ。

photo: Keisuke Fukamizu / text: Kei Osawa

仙台駅から歩くこと数分、繁華街の中に立地する白を基調としたレトロモダンな外観が特徴的な古着ショップ。店内に足を踏み入れると、Gジャンやバイクアイテムを筆頭に、コンディション良好かつ上品なヴィンテージウェアが眼前に広がる。多すぎず少なすぎない絶妙な品数から、いかに丁寧にセレクトされているかが窺い知れる。

店主の堀健さんが〈ファイブブラザー〉の60年代のワークパンツのデッドストックを手にする。ブラックはあまり見ないシロモノだ。

「これ、ホリパンって呼ばれているんです。僕が毎日のように穿いていたから“ホリ(堀)パン”(笑)。これに〈ハーレー〉のTシャツを合わせて、足元はエンジニアブーツというのが〈トゥルーヴィンテージ〉の定番。仙台の古着好きは一時期みんなこの格好でした」

仙台のお客にスタイルが浸透するほどの影響力を持つ堀さん率いる同店は、2009年の12月にオープン。19年に現在の場所に移転した。店内にはデニムやミリタリー、アウトドアといった王道アメカジを筆頭に、堀さんの趣味であるアメリカンカーなどのモーターサイクル系のアイテムが上品に陳列されている。最近ではヴィンテージという言葉の意味が曖昧になっているが、ここでは独自の解釈を持ってアイテムを取り揃えている。

仙台〈True Vintage〉店内
堀さんの大好きなモーター系アイテムもこの店ならではの品揃え。ライダースを筆頭に、50年代前後の極上フライトジャケットやスポーツジャケットが顔を揃える。

「うちではジャンル別に使い分けています。例えばスケート系なら80年代がヴィンテージですが、カジュアルなプリントシャツなどは70年代、ハワイアンなら50年代までといった感じですね。もちろん、いくら古くてもコンディションのいいものしか買い付けてきません」

特に人気なのが70年代以降に製造された〈リーバイス®〉のGジャン。
「一般的に“サード”や“フォース”と呼ばれているモデルで、年代によっては赤タブが“E”のものもあります。シーズンを問わず人気なので、常に置くようにしています」

ここ最近若い人たちによる古着店が増え、その流れからか、ここにも10〜20代のお客が増えたという。

「若い人のお店は90年代のアイテムがメインのところが多いですが、うちでの扱いはほぼゼロ。だからどのアイテムを選んでも友達とかぶることがないし、あとヴィンテージが新鮮というか、カッコいいと感じてもらえて、うちに来て初めて本当の意味でのヴィンテージに興味を抱く人も少なくないです。

そういうお客さんがトゥルーヴィンテージにハマって最終的に〈リーバイス®〉501XXなど、いわゆる王道を欲しがる姿を見ると、ヴィンテージの魅力を理解してくれたようで嬉しくなります。なんせ店名が“True Vintage”ですから、由緒正しいヴィンテージを伝えていきたいです」

真のヴィンテージアイテムといえば、仙台では前述の“ホリパン”も不可欠。だがここ数年は事情が変わっているようで……。

「最近はブラックジーンズを推奨しています。というのもあのワークパンツは今、アメリカでもほとんど見つからないんです。今夏は、ブラックジーンズにカラフルなヴィンテージのハワイアンやボウリングシャツなどを合わせて、足元はやっぱりエンジニアブーツというのが気分ですね」

仙台〈True Vintage〉店内
デニムやワークシャツなど、アメカジでは定番といわれる古着を中心にセレクトしている。人気が高い70〜80年代製の〈リーバイス®〉のGジャンは、サイズにもよるが、だいたい30,000円くらいから。

買い物のあとに、古着メシ

仙台〈とんかつ牡丹〉もち豚の牡丹定食
仙台〈とんかつ牡丹〉入口

※紹介した古着の多くは一点物で、品切れの場合があります。価格等の情報は取材時のもので、変更になる場合があります。