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CULTURE SAUNA TEAM “AMAMI”が行く欧州サウナ旅〈DAY8-9:フィンランド編〉

サウナカルチャーを考察するために結成されたCULTURE SAUNA TEAM “AMAMI”の草彅洋平、84ken(橋本健太郎)、オリティー(濱田織人)が、欧州5ヵ国のサウナを巡る冒険に出発。約2週間のサウナ漬けの旅の果てに、彼らが見たものとは?

photo: Kenichi Murase / interview & text & edit: Yohei Kusanagi / editorial assistant: Yuji Nakano, Nao Uema, Kentaro Hashimoto, Orito Hamada / coordination: Ayana Kobayashi / cooperation: Japan Sauna Spa Association, OLD ROOKIE SAUNA, Totonou Pants, kontex IMABARI JAPAN

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8日目:現存最古の公衆サウナ。猛烈な“ととのい”

翌朝すっかりサフレ(サウナフレンズ)になったラッセに見送られて空港へ。いよいよ、サウナの本場フィンランドだ!

ヘルシンキから鉄道で1時間半ほどの距離にある第3の都市タンペレの町にやってきたのは、1906年に開業したフィンランド現存最古の公衆サウナ〈Rajaportti Sauna〉に行くため。ここはフィンランド人サウナーが国内でナンバーワン施設に挙げることも多い、日本の古い銭湯のような場所だ。僕らが着いたのは夕方だったが、それでもたくさんの男女がビールを飲みながら談笑していた。

3m2にもなる石造りのサウナストーブは、重さ計1トン以上のサウナストーンが敷き詰められ、真っ赤になるまで熱せられている。そのため一度ロウリュすればその熱波は強烈。身を屈めても相当な熱風で、一瞬で汗が噴き出てくる。

耐えられなくなったらバスタオルを巻いて外気浴スペースの庭へ。放心状態でベンチに座っていると、「君たちは日本人か?」「サウナは気に入ったか?」と、大勢の人が話しかけてくれた。くつろぎながら話していると、猛烈な“ととのい”がやってきて、そこからは何を話したのか覚えていない。

サ飯は歩いて行ける近所のレストラン〈Pispalan Pulteri〉へ。サーモンスープをはじめとした料理がおいしかった。ぜひサウナとセットで訪れてほしい。

フィンランド〈ラヤポルッティ・サウナ〉外気浴スペース
外気浴スペースは庭。バスタオルを巻いた男女が世間話をしたり、ビールを飲んだり、眠ったり、思い思いのスタイルでくつろいでいる光景が美しい。

9日目:私設美術館で最大規模。バケツやラドルも一点もの

タンペレからバスで約1時間半の場所に、アートの町として近年注目されるマンッタがある。世界中から多くの観光客が訪れる理由は、この町にフィンランドの私設美術館で最大規模を誇るセルラキウス美術館があるからだ。

製紙業で財を成したグスタフ・アドルフ・セルラキウスと、甥のイェスタ・セルラキウスにより収集されたフィンランド屈指のアートは、フィンランドの美術教科書に掲載されているものもあるという歴史的なものばかり。

そんな巨大な美術館に併設する形で2022年6月にオープンしたのが〈Serlachius Art Sauna〉。建築家に設計させたのはサウナ室だけでなく、待機室や外気浴スペース、湖につながる桟橋までといったすべて。広大な敷地の至るところに稀少な美術品を設置し、バケツやラドルもサウナマットもアーティストが制作した一点ものというこだわりだ。

フィンランド〈セルラキウス・アート・サウナ〉サウナ室
スペインの建築家がフィンランドの教会によくある天井デザインを模して設計した〈Serlachius Art Sauna〉のサウナ室。セルラキウス美術館プロジェクトマネージャーのパイヴィ・ヴィヘルコスキは「素晴らしいフィンランドの自然、そして五感を超えたアート体験をしていただきたい」と話してくれた。

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