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CULTURE SAUNA TEAM “AMAMI”が行く欧州サウナ旅〈DAY10:フィンランド編〉

サウナカルチャーを考察するために結成されたCULTURE SAUNA TEAM “AMAMI”の草彅洋平、84ken(橋本健太郎)、オリティー(濱田織人)が、欧州5ヵ国のサウナを巡る冒険に出発。約2週間のサウナ漬けの旅の果てに、彼らが見たものとは?

photo: Kenichi Murase / interview & text & edit: Yohei Kusanagi / editorial assistant: Yuji Nakano, Nao Uema, Kentaro Hashimoto, Orito Hamada / coordination: Ayana Kobayashi / cooperation: Japan Sauna Spa Association, OLD ROOKIE SAUNA, Totonou Pants, kontex IMABARI JAPAN

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10日目:歴史的なスモークサウナ村。満場一致で旅一番の体験に

フィンランドのタンペレとユヴァスキュラの間に位置する、ヤムサ市郊外に〈Saunakylä〉がある。「kylä」とは、フィンランド語で「村」の意味。「サウナ村」と呼ばれるのは、パイヤンネ湖畔の静かな場所にフィンランドの歴史的なスモークサウナを集め、現在20軒以上の屋外博物館として展示しているからだ。そして19世紀から20世紀に造られた年代物に入浴できるというのだから、とんでもない体験施設である!

とはいえ、直前まで行こうか行くまいか悩んでいた。当初から旅の予定先としてリストに入れていたのだが、Saunakyläに行くのは実は相当ハードルが高い。なぜなら夏季の、土曜日の、夕方以降の短い時間にしか営業していないため、サウナキュラを起点に旅程を組む必要があるからだ。

それでも苦心して来た感想は「本当に来て良かった……」の一言。アーランド、ラッセをはじめとする各国のサウナーがスモークサウナを至上としていた意味がよくわかる。素晴らしいアロマと火を落としているとは思えないほどの灼熱。僕ら満場一致で、この旅一番のサウナ体験となった。

簡易テントで水着に着替え、どのスモークサウナに入るか悩みつつ、小屋が立ち並ぶ中世の村のような敷地を歩く。このタイムスリップした感じも、〈Saunakylä〉でしか体験できない価値だろう。

年代物のサウナをオリジナルの道具や工法で復元するボランティアたちが「こっちの小屋はもう入れるぞ」と声をかけてくれる。彼らが朝からストーブを温めてくれたおかげで、こんな素晴らしい一日が過ごせるというのも、コミュニティのすごさを物語っている。中に入ると、普通のサウナは目じゃないくらい暑い!

フィンランド人が伝統的に燻製作りにも利用していたというスモークサウナは、煙突がないのが最大の特徴だ。なぜこの施設のスタートが16時からなのか。それは朝から8時間以上、薪を燃やし続ける必要があるからだ。その時に出る煙をサウナ室内に充満させ、石造のストーブと小屋全体を熱々にする。

このままだと一酸化炭素中毒の危険性があるのだが、十分な薪を燃やし切り、かつ滞留した有毒物質を上手に排出するとサウナとして利用することができる。この作業には長年の経験とテクニックが必要で、フィンランドの匠の技といえよう。

スモークサウナのロウリュは上からバッと水をかけてはダメだ。石にラドルの先をピッタリと当て、ゆっくりと内部に水を流し切る。すると火力がないにもかかわらず、すさまじい蒸気で体中が蒸されると同時に、素晴らしいウイスキーのような香りがあたり一帯に漂う。

時間の経過とともに、体感温度や香りが異なるのも、スモークサウナの最大の魅力だ。
スモークサウナに入ると、背中に炭がつき、それが黒い翼のように見える。僕らは天使の黒い羽をつけ、火を囲みながら外気浴をした。数千年前のフィンランド人たちが楽しんだ原始的なサウナの風景は、日本に帰った今でも記憶の片隅に焼き付いて離れない。

スモークサウナ文化を現代に伝える、フィンランドサウナ文化協会会長にインタビュー

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