11日目:サウナ大国に挟まれた、サウナのイノベーション国家
フィンランドの南に位置するエストニアへは、フェリーに乗って約2時間。船内には生演奏やバー、免税店などがひしめき合っていて、くつろいで過ごすことができる。
バルト三国に位置するエストニアとフィンランドは、古くからさまざまな文化を共有するサウナ文化圏であった。ところがロシアの支配が1710年頃から始まり、その頃からバーニャ(ロシア式サウナ)文化が注入され、独自の路線を歩むことに。要は2つのサウナ大国に挟まれた結果、サウナのイノベーション国家に急成長したと説明するのが適切だろうか。
到着して早々、エストニアビールの代表格である〈Põhjala Brewery & Tap Room〉にやってきた。古い巨大倉庫をオシャレなビール醸造所に改装、この中に貸し切りサウナ室があるというのだ。
醸造所では24種類のPõhjalaビールを、テキサスバーベキューを中心とした料理と一緒に味わうことができる。貸し切りサウナ室内でも料理やビールを頼めるので、仲間とワイワイ食事しながら楽しむのがいいだろう。1階にはショップも併設されており、ビールはお土産にも最適だ。
サウナ室は黒い内装に年代物の木造の建具がいい感じ。水風呂はないがシャワーでも十分だった。
宿泊は〈Hotel L'Embitu〉に。こちらのサウナには、翌々日に訪れる予定のSaunum社のストーブが設置されており、壁面のロウリュボタンを押せば、熱々の蒸気がもくもく立ち上がる。長さ12mの屋内スイミングプールのほかに、日本では珍しいハルビア社のスチームサウナも。料金は宿泊代とは別だが、ラグジュアリーなスパを堪能した。
オリティーのリサーチで突如向かうことを決めた〈Heldeke!〉は、なんとステージ(舞台)の奥に、楽屋のような形でサウナ室がある変わった造り。ステージではコメディ、バーレスク、サーカス、音楽、マジックなどが日によって上演されているという。
僕らが行った日は常連のサウナーたちで賑わっていた。こうしたユニークなサウナが街中にあり、楽しめるのがエストニアの優れたサウナ文化といえるだろう。