CULTURE SAUNA TEAM “AMAMI”が行く欧州サウナ旅〈DAY11:エストニア編〉

サウナカルチャーを考察するために結成されたCULTURE SAUNA TEAM “AMAMI”の草彅洋平、84ken(橋本健太郎)、オリティー(濱田織人)が、欧州5ヵ国のサウナを巡る冒険に出発。約2週間のサウナ漬けの旅の果てに、彼らが見たものとは?

photo: Kenichi Murase, Yohei Kusanagi / interview & text & edit: Yohei Kusanagi / editorial assistant: Yuji Nakano, Nao Uema, Kentaro Hashimoto, Orito Hamada / coordination: Kota Alex Saito / cooperation: Japan Sauna Spa Association, OLD ROOKIE SAUNA, Totonou Pants, kontex IMABARI JAPAN

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11日目:サウナ大国に挟まれた、サウナのイノベーション国家

フィンランドの南に位置するエストニアへは、フェリーに乗って約2時間。船内には生演奏やバー、免税店などがひしめき合っていて、くつろいで過ごすことができる。

バルト三国に位置するエストニアとフィンランドは、古くからさまざまな文化を共有するサウナ文化圏であった。ところがロシアの支配が1710年頃から始まり、その頃からバーニャ(ロシア式サウナ)文化が注入され、独自の路線を歩むことに。要は2つのサウナ大国に挟まれた結果、サウナのイノベーション国家に急成長したと説明するのが適切だろうか。

エストニアのタリン遠景
エストニアのタリン遠景。旧市街には町を守るための中世の城壁が綺麗に残っており、中世に迷い込んだような雰囲気だ。

到着して早々、エストニアビールの代表格である〈Põhjala Brewery & Tap Room〉にやってきた。古い巨大倉庫をオシャレなビール醸造所に改装、この中に貸し切りサウナ室があるというのだ。

醸造所では24種類のPõhjalaビールを、テキサスバーベキューを中心とした料理と一緒に味わうことができる。貸し切りサウナ室内でも料理やビールを頼めるので、仲間とワイワイ食事しながら楽しむのがいいだろう。1階にはショップも併設されており、ビールはお土産にも最適だ。

サウナ室は黒い内装に年代物の木造の建具がいい感じ。水風呂はないがシャワーでも十分だった。

宿泊は〈Hotel L'Embitu〉に。こちらのサウナには、翌々日に訪れる予定のSaunum社のストーブが設置されており、壁面のロウリュボタンを押せば、熱々の蒸気がもくもく立ち上がる。長さ12mの屋内スイミングプールのほかに、日本では珍しいハルビア社のスチームサウナも。料金は宿泊代とは別だが、ラグジュアリーなスパを堪能した。

オリティーのリサーチで突如向かうことを決めた〈Heldeke!〉は、なんとステージ(舞台)の奥に、楽屋のような形でサウナ室がある変わった造り。ステージではコメディ、バーレスク、サーカス、音楽、マジックなどが日によって上演されているという。

僕らが行った日は常連のサウナーたちで賑わっていた。こうしたユニークなサウナが街中にあり、楽しめるのがエストニアの優れたサウナ文化といえるだろう。

エストニア〈ヘルデケ!〉水風呂
笑顔で写真に写ってくれた外気浴中の常連さん。彼女の奥にあるのが水風呂。意外と深く、冷たく、広い。紐を引っ張ると水をかぶれるバケツもある。

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