音楽好きが住処に選ぶ、良い音と生活が寄り添う街
下北沢がライブハウスや小劇場の街で、バンドマンや役者が多く暮らしていることは改めて言うまでもないが、茶沢通りでつながった三軒茶屋もまた、音楽を愛する人々が暮らす街であると言える。この茶沢通りを中心に、興味深い個人店が点在するこのエリア。
大小のライブハウスやクラブはもちろんのこと、曽我部恵一さんが営む〈CITY COUNTRY CITY〉のようにミュージシャン自身が経営する店や、〈ジャズイン アンクルトム〉や〈BAR GOLEM〉〈Little Soul Cafe〉のような老舗のジャズバーもしっかりと根を張り地元の常連を抱え、〈三茶カリーZAZA〉をはじめとした名店揃いのカレー屋から、メキシコの酒をメインに扱う酒屋の角打ち〈MANGOSTEEN/万珍酒店〉、一日を通して利用できるカフェ〈a-bridge〉まで生活のあらゆるシーンを良い音楽が支えてくれる。
またどの店も「すぐそこに住んでいるんだよね」という客が多く、地元民率が高い。人が人を呼ぶのか、〈RAWMENレコード〉や〈COUNTER CLUB〉などの耳の肥えた人を満足させる良質な新店も登場。この街に朝から晩まで良い音が鳴り続けるのは、音楽を愛する人が暮らしているから。たとえ時代の波に寄せられて店のスタイルが変わっても、どこからか良い音が聞こえる街であることは変わらないだろう。