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クラフトマンシップを感じながら堪能する東京の酒。都市型蒸留所・醸造所

東京では、町中やビル中の限られたスペースで酒を造る都市型の蒸留所・醸造所が増加。併設の店舗で、酒造りの現場を見ながら、出来たてを味わえると人気を呼んでいる。

Photo: Kenya Abe / Text: Ai Sakamoto

「おいしい酒場。」特集でも、2014年にクラフトビールのブルーパブ(ブルワリーに併設されたパブ)を紹介。翌15年には、都市型ワイナリーの先駆けである大阪の〈フジマル醸造所〉が東京・清澄白河に2軒目をオープンした。

あれから5年、クラフトビールのブルワリーはさらに増え続け、マイクロブルワリーより小規模なナノブルワリーも登場。ワイナリー以外にも、クラフトジンを手がける蒸留所や、どぶろく醸造所がお目見えしている。

〈常陸野ブルーイング東京蒸溜所〉
〈常陸野ブルーイング東京蒸溜所〉の客席から、蒸留スペースを見る。軽く一杯も、しっかり食事も、両方できる使い勝手の良さが魅力だ。

蒸留所・醸造所に併設の酒場の魅力は、なんといっても、酒造りの現場を前に、そこで造られた一杯を飲めること。鮮度が重要なビールはもちろん、長期熟成を必要としない早飲みタイプのワインや、火入れをしないどぶろくの生酒などをフレッシュかつ適切な状態で飲めるのだから格別だ。

駅から徒歩数分というアクセスの良さも、地方での醸造所・蒸留所巡りに比べて、気軽なことこの上ない。ローカル志向が進む中での、敢えてのメイド・イン・トーキョーの酒。今度はどんな酒が登場するのか、その進化はまだまだ続く。

ALL WRIGHT〜sake place〜(浅草)

自家製の麹と三段仕込み
こだわりの製法でどぶろくを醸す

2020年6月にオープンした〈木花之醸造所〉に併設。秋田の新政酒造で研鑽を積んだ岡住修兵さんが醸造長を務める。一般的な火入れタイプと、ここだけで飲める生酒の2種を提供。米と麹、水だけで造るどぶろくは、華やかさと清々しさを併せ持つ

ALL WRIGHT 〜sake place〜
一見でも入りやすいカジュアルな内装。写真奥、店舗の入口に醸造所がある。
公式サイト:https://konohanano-brewery.com/allwrightsakeplace
料理長自慢の串揚げ五種盛
料理長自慢の串揚げ五種盛¥1,180。どぶろく「ハナグモリ」はボトル¥2,170、¥グラス380。
醸造所には麹室を併設
こだわりの酒造りを実現するため、醸造所には麹室を併設している。

常陸野ブルーイング東京蒸溜所(秋葉原)

クラフトビールを蒸留した
オリジナルスピリッツを提供

JR秋葉原駅ー御徒町駅間の高架下。複合施設の一角に、2019年12月にオープンした木内酒造の蒸留所。
ここで造られるジンやスピリッツのほか、「常陸野ネストビール」やクラフトウイスキーなど、同酒造が手がける洋酒のほとんどを飲むことができる

蒸留スペースのすぐ隣で飲食できるのが楽しい。
公式サイト:http://hitachino.cc/tokyodistillery/
自家製シャルキュトリー盛り合わせ¥1,980に、ジントニック¥980を合わせて。常陸牛やつくば鶏など、料理に使う食材は茨城県産の食材が中心だ。
ラボ感を演出するスパイス

渋谷ワイナリー東京(渋谷)

生樽ワインを量り売りで飲める
〈深川ワイナリー東京〉の姉妹店

RAYARD MIYASHITA PARK〉の3階に位置。2020年8月に開業した。できたばかりのワインを樽詰めした、果実味あふれる一杯が味わえる。ここで造られているのは、赤白各1種とそれらをブレンドしたロゼ。量り売りなので、気軽に飲み比べできる。

醸造所を囲むL字形カウンターが特等席。醸造担当は村上学さん。
公式サイト:https://www.shibuya.wine/
赤身肉が自慢の店で味わいたいのはフィレ、サーロインなど4種の肉盛り合わせ¥6,028。生樽ワインは1杯30gから注文できる。写真はピノノワール1g¥9.35。
瓶詰め作業。