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〈アヒルストア〉齊藤輝彦が合羽橋で選ぶキッチン道具たち

東京屈指の人気ワイン酒場で軽やかに料理をこなす齊藤輝彦さん。道具選びにも、独特の視点とセンスが光っている。店のほとんどの道具をゲットしたという、合羽橋商店街の案内を乞うた。
初出:BRUTUS No.755『尊敬できる「日用品」。』(2013年5月15日号)

 

photo: Shin-ichi Yokoyama / text: Michiko Watanabe

〈アヒルストア〉齊藤輝彦さんが
道具を選ぶ、合羽橋へ

弘法だって筆を選ぶ。いや、弘法だからこそ、筆を選ぶ。選ぶ場所は、プロの料理人御用達の、合羽橋(かっぱばし)だ。実は、齊藤輝彦さんが〈アヒルストア〉を開く際、合羽橋で器や道具を揃えたと聞いて、意外だった。だって、合羽橋っていったら、長靴履いた料理人さんたちが買いに来るトコでしょ、と思っていたからだ。イマドキのかっこいい店の主が、合羽橋で買い物してる姿なんて想像できなかったのだ。

そこで、アヒル弘法に案内してもらうことに。そしたら、最近はプロだけでなく、一般ピープルに門戸を開いている店が多く、まぁ、楽しいこと、楽しいこと。道具好きならずとも、ルンルン要素満載だった。そのうえ、各店舗でアヒル弘法がなにげなく放つ一言が、私たちが毎日使う器や道具をどう選んだらいいのか、皆目わからんという迷妄を打ち破る示唆に富んでいて、とっても勉強になったのである。

ガラス瓶とカトラリー

白皿

ストウブの鍋

ところで、齊藤さんと合羽橋の付き合いは長い。学生時代、大学の近くの喫茶店でバイトをしていて、毎日、アルミのフライパンでパスタを作っていたので、当然ながら、キッチン雑貨には興味津々。プロ仕様のそのフライパンを探しに合羽橋へ足を踏み入れた。

「お店で使っていたのは〈中尾アルミ製作所〉製だったのですが、底が厚い。だから焦げつきにくい。それから、トレードマークのコックさんが刻印されているんだけど、これがまたかわいい♡」。そのうち、寸胴鍋も欲しくなってゲット(正しくは「半寸胴鍋」。寸胴は直径と深さがほぼ同じ。半寸胴は直径の3分の2強の深さのものをいう)。

「これもスグレものなんです。縁を見てください。外にわずかにくるっと曲がってるでしょ?これって、毎日ガンガン使うプロにとっては、大事な工夫。あちこち当たってもへこんだりしない」。脇に目盛りがついているのも便利。〈アヒルストア〉の寸胴鍋は、家から持ってきたものだから、もう10年以上愛用していることに。「結局、いいもの買うと、長く使えるってことなんですね」

そんなこんなで、齊藤さん、今も年に数回は合羽橋商店街を訪れる。自然と、行く店は決まってきたという。
最近、特注サイズのフライパンを作ってもらった〈釜浅商店〉もその一軒。4代目発案によるオリジナルの打ち出しフライパンは、特徴だらけ。厚手の鉄板から打ち出し、持ち手の取り付け位置を低くして、どんな蓋にも対応できるように。持ち手はリベット留めでなく、熔接だ。

だから、中に突起がないので汚れが留まりにくくなった。また、錆止めを塗ってないので、すぐに使える……などなど。誰もが使いやすいようにと考えられたフライパンである。あー、私も欲しい……いや、その前に次の店へゴー!

アルミ半寸胴鍋&ザル

打ち出しフライパン