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斉藤壮馬の「ただいま、ゼロ年代。」第5回 Bloc Party『Silent Alarm』

30代サブカル声優・斉藤壮馬が、10代のころに耽溺していたカルチャーについて偏愛的に語ります。毎月20日更新。

photo: Natsumi Kakuto(banner),Kenta Aminaka / styling: Yuuki Honda(banner) / hair&make: Shizuka Kimoto / text: Soma Saito

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Bloc Party『Silent Alarm』を持つ斉藤壮馬

2000年代にロックンロール・リバイバルという大きな音楽のムーブメントがあって、バンドキッズだったぼくは当然その洗礼を受けた。

そのときに聴いていた音楽は、今でも血肉となって自分の書く曲に反映されている。
今回は、その中でも特に好きだったバンド・Bloc Partyと、彼らの1stアルバム『Silent Alarm』について語っていきたい。

ロックンロール・リバイバルの初期は、シンプルな音像に回帰しようというギターバンドがひしめいていたが、彼らはそこにポストパンク的・ヒップホップ的なアプローチを持ち込んできた。
性急なビートに乗って紡がれるキャッチーなメロディは、音楽を聴きはじめたばかりの斉藤少年の心を鷲掴みにしたのだ。

1stにして名曲揃いのこのアルバム。
M1『Like Eating Glasts』の入りからしてクールで、M4『Banquet』、M9『Price of Gasoline』、M11『Luno』などのリズムの強い楽曲から、M5『Blue Light』、M10『So Here We Are』のような圧倒的な美メロ曲まで幅広く収録されている。

しかしこのアルバムのアンセムといえば、個人的にはやはりM2『Helicopter』一択だ。

ど頭から突き刺さる、ケリー・オケレケ氏とラッセル・リサック氏によるツインギターリフがとにかく最高。
何度も聴いて必死に耳コピをしたものだ。

サビで繰り返される「Are you hoping for a miracle?」というフレーズも、斜に構え、中二病真っ只中だった自分にはたまらないご馳走だった。
なんなら一瞬アドレスにもしちゃった。

声優・斉藤壮馬

ぼくはずっとメインギターにテレキャスターを使っているが、その遠因……というより直接的な要因は、間違いなくこのバンドにあるといえるだろう。

今回執筆にあたって聴き直し、結局自分のルーツはギターバンドで、いくつになってもこういう音に身体と心が反応してしまうのだろうな、と改めて感じた。

そういえば、連載3回でラッセル・リサック氏の影響で前髪を伸ばしていたと書いたが、ぼくの記憶が正しければ、ブックレットに窓枠に座ってゲームボーイアドバンスをプレイしているラッセル氏の写真があって、バンドの練習時、こっそり同じポーズを取ったりしていた。

今思い出しても、むず痒くてきゅんとしてしまう懐かしい記憶だ。

音楽的に影響を受けすぎているので、自分の書く曲ではBloc Party的な要素を意図的に排除してきた。
けれど時が経ち、整理がついたのか、12月にリリースするEPで1曲、彼らへの愛を表現したような曲を作った。

もちろんフレーズなどをそのまま拝借しているわけではないが、聴く方が聴けば「おいおい、なんて素直なラブレターなんだよ。影響受けすぎだろ」と感じるかもしれない。
はい、おっしゃるとおりでございます。

自分ひとりの部屋で、『Helicopter』に合わせて何時間もギターを弾いていたあの日々を、ぼくはたぶんこれからも忘れることはないだろう。

もちろんそれは奇跡でもなんでもないが、少なくとも自分にとっては、あのなんでもない日々が繋がり、今こうして愛を語れているのは、奇跡みたいなことなのだから。

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