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全国のロープウェイを乗り尽くした鉄道マニア・中島信が案内する、その狭くて深い世界

全国に約150あるというロープウェイ。その全てに乗ってきた中島信さんに話を聞いた。絶景を見下ろせるものはもちろん、一風変わった場所を走るものもあり、グッドデザインな箱あり。バラエティに溢れるその世界を覗いてみよう。

photo: Makoto Nakajima / text: Ryota Mukai

「元々鉄道が大好きで、全国の電車に乗ったんですね。その後に気になったのがロープウェイとゴンドラでした。実はどちらも鉄道の仲間なんですよ。コンプリートしたさにどちらも全て乗りました。できるだけ美しく撮影をしたいので、毎回天気との勝負。これがなかなか大変でね……」とニコニコしながら話すのは、中島信さん。

このコメントからもわかる通り、筋金入りの鉄道マニアだ。「だから、山に興味があるわけではないんです(笑)。でもロープウェイに乗るときには、最低でも3往復はします。支柱の間隔を確認したり、撮影スポットを見定めたり、とやることが多くて。機体のデザインが変わればまた乗って……と何度も乗るうちに、山だからこそ感じられるダイナミックな季節の変化に癒やされるようになりましたね」

「ロープウェイのなによりの特徴は、『宙を引っ張られて』進むこと。なかでも時刻表があるのがロープウェイ、時刻表がなくて秒単位で次々に進んでいくのがゴンドラ、といったように法的な区別はあるのですが、ゴンドラがロープウェイを名乗っているケースが少なくありません。ここでも一緒くたにご紹介します」

世界的に見れば、スイスやオーストリアなどがロープウェイの先進国。そもそもは雪山の移動手段として発達してきたものだからだ。日本でもその傾向は強く、全150機のうち約3分の2が東日本で運行している。さらにそのうち半数が冬のみの営業なのだという。今回は、これから新緑の時期にも楽しめる3パターンのロープウェイを教えてもらった。

大自然の風景を存分に味わうなら

「『中央アルプス駒ヶ岳ロープウェイ』は、山麓のしらび平駅から中央アルプス宝剣岳の中腹にある山頂の千畳敷駅までを繋ぐ、日本最古の山岳ロープウェイ。千畳敷駅の標高は2,612mと国内最高で、かつ、この2つの駅の高低差は950mとこちらも日本最大。登り始めは春の光景でも、頂上に近づくにつれてまだまだ冬の名残が感じられる、といったように2つの季節を味わえる場所です。一方で『苗場ドラゴンドラ』は、5,481mと日本最長の長さを誇るゴンドラ。乗車時間も30分弱と、ゆったり景色を楽しめますよ」

こんなところも走るのか!

『かんざんじロープウェイ』は湖の上を渡る、日本唯一のもの。ほかでは味わえない浮遊感を得られるはずだ。「ロープウェイは浜名湖を見下ろしながら、対岸の大草山へ向かいます。山頂の大草山駅は自動演奏楽器をコレクションする『浜名湖オルゴールミュージアム』に直結していて、『大草山展望台』もありますよ」。

サファリパークと遊園地が併設されている『姫路セントラルパーク』を走るのは、ゼブラ柄が特徴の『スカイサファリ』。「ここではサイ、ラクダなどが過ごすサファリの上空を通過していきます」。気分はサファリを飛ぶ鳥のようだ。

グッドデザインな箱

ロンドンの2階建てバス、ならぬ、新穂高の2階建てロープウェイ。このスタイルは国内でここだけ。「ロープウェイの駅も2階構造と、ここだけの仕様になっています。やはり2階席は人気で、順番待ちをする人も少なくないですね」。

ほぼスケルトンの『長崎ロープウェイ』は周囲が360度見渡せる仕様。「長崎は函館山ロープウェイ、摩耶ロープウェイとともに日本三大夜景を楽しめるロープウェイのひとつです」。その眺望を余すことなく楽しめるグッドデザインだ。