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北野武、豊川悦司、ヴィヴィアン・ウエストウッドetc.スターのはじめの一歩から学ぶ、成功を掴むメソッド

テレビの中の人気者も、偉業を成し遂げた権威たちも、みな最初は何者でもなかったはず。19人のスターたちはどのようにはじめの一歩を踏み出したのか。そのエピソードから、成功を掴むメソッドを見つけてみよう。「忌野清志郎、タモリ、ボブ・ディランetc.はじめ方は先人たちに学べ〜前編〜」も読む。

illustration: Yoshimi Hatori / text: Daisuke Watanuki / edit: Emi Fukushima

北野武:映画監督のはじめ方

急遽あいた穴を埋める

北野武の映画初監督作『その男、凶暴につき』は、当初は奥山和由プロデュースで監督は故・深作欣二、主演ビートたけしで進められた企画だった。

しかし深作のスケジュールが合わず、奥山はビートたけしに好きに撮っていいと打診。脚本の書き直しを条件にこれを引き受け、主演ビートたけしのまま、北野武として自身初の監督を務めることになった。

羽鳥好美 イラスト
参考:『黙示録 映画プロデューサー・奥山和由の天国と地獄』刊行記念鼎談

谷川俊太郎:詩人のはじめ方

友人の勧めに乗ってみる

詩人になるきっかけは高校生の時。それまで全く詩に興味を持ったことはなかったが、詩が好きな友人に「書いてみないか」と勧められたことで、詩作および発表をスタート。

その後本格的に商業誌に詩が掲載され、原稿料をもらうことで詩がお金になるということを学ぶ。1952年にはデビュー作となる詩集『二十億光年の孤独』を刊行する。

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参考:『詩を書くということ 日常と宇宙と 100年インタビュー』谷川俊太郎/PHP研究所

豊川悦司:俳優のはじめ方

きれいなお姉さんについていく

役者になるターニングポイントとなったのは、大学の演劇部に誘われたこと。それまでは全く演技に興味がなく、過去の部活も運動系。しかし、たまたまキャンパスをふらふらしていたら、新入生の勧誘できれいなお姉さんに声をかけられて演劇部の練習に参加する流れに。

お姉さん目当てに毎日部室に通っているうちに芝居が好きになった。その後大学1年生の時から舞台に出演している。

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参考:映画『ミッドウェイ』公開記念イベント

ヴィヴィアン・ウエストウッド:デザイナーのはじめ方

誰もやらないことを引き受ける

当時のパートナーであったマルコム・マクラーレンとともにブティック〈レット・イット・ロック〉をオープンしたヴィヴィアン。

その前は生活費を稼ぐために小学校教師をしていたが、マルコムの前衛的なセンスと協働できるのはヴィヴィアンしかおらず退職。最後にもらった給料でミシンを購入。

これがファッションデザイナーのきっかけとなり、前衛的でロックなファッションは若者の間で人気に。「パンクの女王」として名を馳せることに。

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参考:『ヴィヴィアン・ウエストウッド自伝』ヴィヴィアン・ウエストウッド、イアン・ケリー/DU BOOKS

山下達郎:ミュージシャンのはじめ方

前の席の人に合わせる。

きっかけは中学時代にブラスバンド部に入ったこと。希望の部活を書いて提出する際に別の部を書いていたが、前の席の2人が「ブラバン」を記入しており、そんなに人気ならと自身も書き換えた。

ところがそのクラスでブラバンを希望したのは、達郎とその生徒のたった3人。ただ、ブラバンとの出会いが人生で一番大きな転換期だったと語っている。

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参考:TOKYO FM『山下達郎サンデー・ソングブック』2018年9月2日放送回

山中伸弥:研究者のはじめ方

向いていないことを潔く諦める

整形外科の研修医として国立大阪病院(現・国立病院機構大阪医療センター)に勤務していた山中。仕事を覚えるもどうもうまくいかず、自分には向いていないのではと考えるようになり、基礎医学へ転身する。整形外科医の主な仕事は手術だが、重症者や難病に苦しむ患者は、いくら手術の腕を磨いても治せない。

「何とかいつか治らないケガや病気を治せるようにしたい」という思いもあり、まだ解明されていない病気の原因や、まだ存在しない薬の治療法を開発する基礎医学に携わることとなる。

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参考:『第26回京都賞ウイーク 教育イベント』発言

中園ミホ:脚本家のはじめ方

失恋相手への未練をエネルギーにする

実は占い師だったこともある異色の経歴を持つ中園ミホは、かつてとある脚本家に片思いし、熱狂的な追っかけをしていた過去が。失恋するも思いは止まらず、同じ仕事に就けばまた会えると思い立つ。

そこから国立国会図書館に弁当持参で通い、その人の活字となっている脚本を全部大学ノートに写すということを毎日やっていたら、2年後には脚本家になれたと明かした。

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参考:『ボクらの時代』2021年12月5日放送回

黒澤明:映画監督のはじめ方

諦めたかつての夢で、巨匠と意気投合する

子供の頃は画家になることを志していた黒澤。しかしなかなか芽が出ず、見切りをつけた時に見つけたのがP.C.L.映画製作所(後の東宝映画)の新聞記事。「助監督募集」広告に飛び込んだ。

面接では後に師と仰ぐ山本嘉次郎と絵画について気が合って長話に。そして見事100倍の狭き門を突破して入社。映画業界へ入り、1943年『姿三四郎』で監督デビューを果たす。

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参考:『蝦蟇の油 自伝のようなもの』黒澤明/岩波現代文庫

草間彌生:芸術家のはじめ方

恐怖心を心のままに表現する

草間は裕福ながら複雑で保守的な旧家に育つ中で、幼い頃から幻覚や幻聴に悩まされた。見るものすべてが水玉で覆われてしまい、犬や花が人間の言葉で話しかけてくる。

恐怖から逃れるために、それらを絵に描いたという。必死で絵を描いている間だけ、恐れや悩みが消えていった。現在の代表的なモチーフである水玉は、草間にとって恐怖の対象であり、克服すべきものだった。

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参考:『無限の網―草間彌生自伝―』草間彌生/新潮文庫

ウォルト・ディズニー:アニメーターのはじめ方

やむを得ず就いた仕事に興味を見出す

漫画家としての活躍を目指したウォルトだが、結果は鳴かず飛ばず。広告デザインの会社で働くも失業する始末。その後、カンザスシティ・フィルム・アド社にアニメーターとして雇用されることに。

初めは生活のために働きだしたが、短編アニメの作画を担当する中でアニメーターとしての資質に目覚めていき、漫画からアニメへと興味が移っていく。

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参考:『ウォルト・ディズニー 創造と冒険の生涯 完全復刻版』B・トマス/講談社