日本と韓国、人をつなぐ本屋
——現在は本屋と出版レーベルをされていますが、もともと本はお好きだったのでしょうか?
本も好きでしたが、雑誌のカルチャーがすごく好きで。20代の頃からよく日本に旅行して、〈蔦屋書店〉や〈恵文社一乗寺店〉に行ったりして、読めないのに日本の雑誌を買ったりしていました。
——学生時代の専攻は?
韓国文学と英文学です。周りの人たちは映画や音楽が好きな人も多かったですが、私は本当に雑誌が好きで。書いてある内容を読むのも好きですが、デザインやレイアウトにも興味がありました。
ナガオカケンメイさんのデザインに出会ったのも学生時代。韓国語に翻訳されている本も多かったので、たぶんほとんど全部の本を読んだと思います。
デザインに対する考え方も影響を受けましたし、ナガオカさんが紹介するクリエイターに興味を持ちました。皆川明さんや安藤雅信さんといった、日本でもの作りをされている方々です。ナガオカさんを通して、世界が広がっていった感じです。
——工芸やファッションといったもの作りに興味があったのですか?
私は生まれた時からソウルに住んでいて、ソウル在住というと多くの人はアパートやマンションに住んで近代的な暮らしをしているイメージを抱くかもしれません。でも、私は庭のある実家で、季節を感じながら、自分で料理をして、好きな器で家族一緒に食事をする。そういう日常のことや丁寧な暮らしを大切にする母に育てられました。
なので、ナガオカさんの本を読んだ時に、流行に流されない「ロングライフデザイン」の考え方に共感しましたし、確かなもの作りをしている皆川さんや安藤さんみたいな方々を韓国にも紹介したいと思ったのです。
——大学を卒業されてからはどんなことをされていたのですか?
フリーランスのライターとして、ラジオの構成作家をしたり、知人の仕事を手伝ったりして。
また、比較的時間があったので、フリーランスの編集者として活動を始めたのもこの頃です。ソウルのクリエイターたちに取材をし、ソウルの物語をまとめて出版したり、旅行作家や編集に関する講義などの活動をしていました。
そして、2019年、大好きだった母が亡くなったことをきっかけに、本当に自分がやりたいことをやってみようと思い、準備期間を経て、21年に3坪の本屋〈CALLING BOOKS〉を始めました。
──なぜ本屋だったんですか?
日本を旅行した時に、毎回いろんな本屋さんやギャラリーを訪ねていましたが、日本は韓国と比べてもまだまだ紙の本や印刷物がたくさんあるし、それを取り巻く文化があると感じていました。
また、本屋を巡る中で、東京の〈森岡書店〉のように一冊の本だけを扱う店があったり、雑貨を扱う本屋があったり、ギャラリーが併設された本屋があったり……。本を介して、多様な人々をつなげたいと思った時に、本屋がいいと思ったんです。
周りには、イラストレーターや作家といったクリエイティブな人たちが多かったので、本やポスターを作ったり、原画を販売したりと活動を始めました。私自身が本屋のような。店は小さいけれどもわざわざ店に足を運びたくなるよう、DMを工夫したり、作家のインタビューを公開したり、常にお店の編集をしていて、すると、徐々にお客さんも増え、展示したいという連絡も来るようになりました。そして、有料のメールマガジンなどを通じて、旅や本にまつわるエッセイを発信するようになりました。

──本屋をやりながら、外部の編集の仕事などもされていたんですよね?
はい。以前から尊敬していたナガオカさんとつながって、『d design travel』の済州(チェジュ)島版制作の編集をお手伝いしました。そして、新たに〈tabi press〉という出版レーベルをつくり、発信活動もしています。
昨年末はTokyo Art Book Fair(TABF)に出展し、『d design travel』編集長の神藤秀人さんと作った『LOKAL STORY BOOK』や、日本と韓国の休日を一枚にまとめたカレンダーなどを販売しました。今後も日本と韓国をつなげる活動を、さらに広げていきたいと思います。

Lee Jinaが選ぶ、今の韓国を知るショップ

日本語で「家庭式ファブリック」の意。市庁駅のそば、新亜記念館内にある洋服や雑貨等を扱うショップ&ギャラリー。ハンドメイドにこだわったオリジナル製品やインポート品が揃う。韓国文化や工芸の展示も魅力。
住所:ソウル特別市中区貞洞キル33 3F