私が好きな冒険の本と映像。教育者、作家・鳥羽和久

夏が来た、冒険の季節がやってきた。五感を解き放つ大自然へ、たった一人で孤独と向き合う旅へ、世界の裏側にあるリアルを求めて……。人はなぜ、冒険に惹かれるのか。その答えを求めて、冒険好きの鳥羽和久さんに、一番好きな冒険作品を教えてもらいました。観るだけで、読むだけで、心沸き立つ作品。この夏、あなたの常識を覆してくれる冒険作品がここに!

illustration: Ryo Ishibashi / text: Kazuaki Asato / text & edit: Emi Fukushima

連載一覧へ

“今”に全身で翻弄され変容することこそ冒険

僕の思う冒険は、世界に対して徹底的に受動的になり、外界の刺激を一身に受けて、自分が変化していくものです。そのためには“今”に身を開かなくてはなりません。「今しかないじゃん、時間って」は映画『WE ARE LITTLE ZOMBIES』のセリフ。

主人公は孤児になった4人の13歳ですが、彼らは親が死んでも泣けず、自分たちを感情のないゾンビのような存在だと感じています。そんな彼らが「感情を手に入れるための冒険」に出る。過去にとらわれず、未来に期待せず、今にフォーカスする態度はまさに冒険的です。

映画『WE ARE LITTLE ZOMBIES 』
©2019 “WE ARE LITTLE ZOMBIES” FILM PARTNERS

カヴァフィスは“今”を書き続けたギリシャ詩人。その詩は、香りや視線、肌の触れ合い、空気の湿り気を克明に描きます。過去を言葉の力で今の感覚として蘇らせ、鮮烈な出来事とともに生き続ける。彼がエジプトのアレクサンドリアからほとんど出なかったのは、詩によって冒険ができたからかもしれません。

『カヴァフィス詩集』著:コンスタンティノス・カヴァフィス
『カヴァフィス詩集』
著者は19世紀から20世紀にかけて、アレクサンドリアで役人として働いたギリシャ詩人。全154詩に、感覚と官能が横溢する。著:コンスタンティノス・カヴァフィス/訳:池澤夏樹/岩波文庫/1,364円。

連載一覧へ

TAG

SHARE ON

FEATURED MOVIES
おすすめ動画

BRUTUS
OFFICIAL SNS
ブルータス公式SNS

SPECIAL 特設サイト

FEATURED MOVIES
おすすめ動画