【訊いた人】
坂上陽子(『文藝』編集長)
戸井武史(『群像』編集長)
浅井茉莉子(『文學界』編集長)
杉山達哉(『新潮』編集長)
Q1.文芸が好きになったきっかけの一作は?
文藝(坂上)
金井美恵子『小春日和』。
群像(戸井)
大江健三郎『個人的な体験』。1994年のノーベル文学賞受賞時に手に取り、「こんなふうに日本語を使う人がいるのか」と驚き、夢中で過去の作品を読み始めました。
文學界(浅井)
河野多惠子『みいら採り猟奇譚』。
新潮(杉山)
町田康『くっすん大黒』。中学生の頃なにげなく手に取り、小説、そして日本語はこんなにも自由でいいんだと衝撃を受けました。「文体」というものを初めて意識したのも、この作品。
Q2.毎号どのように特集や一号の構成を考えていますか?
文藝(坂上)
編集部の雑談。面白半分マインド。
群像(戸井)
連載がしっかりボディを担保してくれているので、巻頭近くになるであろう創作と新連載があるかどうか、そこと小特集との(アン)バランスを考えることが多いです。
文學界(浅井)
特集は編集部員の「今これが気になる」「この人に会いたい、書いてもらいたい」が軸になっていきます。
新潮(杉山)
特集主義をとってはいないため、まずは「柱」となる新連載や中長編小説、対談の企画を立て、そこに建築で言う「梁」のように短編や評論の単発の原稿をかけて、雑誌全体を立体的に見せられたらと工夫しています。
Q3.ご自身が手がけたなかで、とくに反響のあった思い出深い号や特集は?
文藝(坂上)
リニューアル2号目の2019年秋季号「韓国・フェミニズム・日本」特集、また宇佐見りんさん「推し、燃ゆ」と王谷晶さん「ババヤガの夜」が同時掲載された2020年秋季号。
群像(戸井)
2020年1月号。川名潤さんと六月さんに全ページのデザインをお願いしてリニューアルした号です。毎号変わるデザインは今の『群像』を駆動するエンジンだと思っています。
文學界(浅井)
特集ではないですが、リレーエッセイ「私の身体を生きる」は反響も大きく、掲載するたび、これが読みたかった!と思っていました。
新潮(杉山)
別冊アンソロジー「平成の名小説」。深夜にひたすらバックナンバーをめくり、石原慎太郎「わが人生の時の時」の一編から金原ひとみ「ストロングゼロ」に至る、平成期の文学の「新潮流」を掴もうとしたのはいい思い出です。
Q4.「やられた!」と唸った文芸誌の号や特集は?
文藝(坂上)
『文學界』作家十一人大座談会、『群像』岸本佐知子編・変愛小説集、『ファウスト』創刊号。『文藝』の特集「HIPHOP♡ILLosophy」は初めて文芸誌を購入するきっかけとなった思い出深い号。古いものでは『面白半分』。作家が半年ごとに編集長を務めていた。
群像(戸井)
『en-taxi』『考える人』の佇まいは、自分の雑誌(文芸誌)観に大きな影響を与えていて、今もバックナンバーを見て「やられた!(使える)」と思ったりします。
文學界(浅井)
『文藝』のリニューアルや『早稲田文学増刊 女性号』、『新潮』の日記特集や千葉雅也さんのデビュー小説など、いろいろあります。「やられた!」というより、「読みたかった!」の方が大きいですが。
新潮(杉山)
『早稲田文学増刊 女性号』(責任編集=川上未映子)。問題提起としての編集方針が、以後の文芸シーンを確実に変化させた。『文學界』2016年6月号。作品主義のひとつの理想形。掲載作が気になる方は検索してみてください。
Q5.文芸誌のおすすめの読み方は?
文藝(坂上)
斜め読み、つまみ食い、行き当たりばったり。
群像(戸井)
テーマパークの地図を見るように、まず目次を眺めます。全体の雰囲気を感じながら、気になったものがあればそこへ、ですが、ぱらぱらとめくってみるのもいいと思います。
文學界(浅井)
とりあえず、表紙と目次をゆっくり眺めてほしいです。
新潮(杉山)
エッセイなど短い原稿から読み、書き手の表情を想像してみては?名の知れた方については意外な一面が、初めてその名前を知る方も文章の息遣いを通じて、人となりが浮かび上がってくる気がします。
Q6.文芸誌を編集するうえで一番大切にしていることは?
文藝(坂上)
気力・体力・時の運。
群像(戸井)
小説を大切にする。その周りに、いろんなジャンルの文章や言葉に住んでもらう。
文學界(浅井)
「今」の取り入れ方。遅延するメディアなので。
新潮(杉山)
物語や論旨の展開にしても、細部の言い回しにしても、「紋切り型」は避けるよう注意しています。原稿を依頼したからには、その方にしか書けない独自の文章を載せなければ意味がないと思っているので。
Q7.尊敬している文芸編集者は?理由も教えてください。
文藝(坂上)
坂本一亀さん。休刊になっていた『文藝』を復刊し文藝賞を創立し戦後文学の立役者となったから。田邊園子さん。坂本一亀さんの部下で当時珍しい女性の『文藝』編集部員。池澤夏樹さん。文芸編集者ではなくもちろん偉大な作家ですが、個人編集の「世界文学全集」「日本文学全集」は人生の宝物です。
群像(戸井)
過去に『群像』に所属していた編集者すべて。80年の歴史のなかでたくさんの困難があったはずで、その時々で懸命につないできていただいたからです。
文學界(浅井)
今はキム・スンボクさんやチェ・スミンさんなど、韓国の編集者の方々に注目しています。作品だけでなく、文化自体を立ち上げていくことをされているからです。
新潮(杉山)
マックス・ブロート。「遺稿はすべて焼却してくれ」という友人のメモを無視して出版したことの是非はあるとはいえ、彼が編集者としての信念からその決断をしなければ、小説家カフカは今のようには存在しなかった。
Q8.文芸編集者にとって最も大切な資質やスキルは何だと思いますか?
文藝(坂上)
聴く力と切り込む力、そして愛。
群像(戸井)
常に複眼を持つ。「そうではないかもしれない」という、自分の内にすら存在するかもしれない「他者」への感覚。
文學界(浅井)
体力。体力不足を実感し、ピラティスを始めました。
新潮(杉山)
他者への敬意と好奇心。
Q9.文芸編集者を志す15歳に一つだけ助言するとしたら?
文藝(坂上)
心身の体力づくり。
群像(戸井)
多数派(に属してもそれはいいんですが)の意見に疑問を持ってみること、でしょうか。
文學界(浅井)
相当奇特な人だと思うので、そのままでいてほしいです。文学の中にも外にも世界は広がっています。
新潮(杉山)
何でもいいから自分の好きなことに全力で取り組んでみて、挫折を知ること。編集者を目指すのはそれからでも遅くないですし、むしろ精神分析的な意味での「去勢」の経験が重要になるのではないでしょうか。
Q10.「名作」の定義を教えてください。
文藝(坂上)
好き嫌いを超えたもの。
群像(戸井)
極論を言えば、自分/私、にとって/だけに、響くもの。読後、目の前の世界が一変する作品。
文學界(浅井)
時代や国を超えて読まれるもの。でも小説を読むのに、「名作」かどうかはどうでもいいとも思います。
新潮(杉山)
読むたびごとに、新たな発見のある作品。容易に答えの出ない、大きな問いを投げかけている作品。
Q11.文学フリマの盛り上がりをどう見ていますか?
文藝(坂上)
いつか『文藝』も出店したいと思ってます。
群像(戸井)
素晴らしいですね。文芸誌としての「強み」をより意識して作っていかないと、と思っています。
文學界(浅井)
2024年『文學界』でブースを出し、ここ数回は「文学フリマ東京」のルポを掲載しています。便乗していると思われているでしょう。
新潮(杉山)
著者と読者と編集者が交わる、貴重な機会だと感じます。こうしたハレの場が根づいたのは素晴らしいことですが、かたや日常にも盛り上がりをつくらねば、出発点となった「不良債権」論争は繰り返されてしまうかも、とも。
Q12.ライバル視しているメディアは?
文藝(坂上)
『The New Yorker』『Granta』『Littor』。
群像(戸井)
ラジオです(ライバルと言うよりは親戚的な)。今でも、一人一人に届いている感覚があるので。
文學界(浅井)
ライバルなんて言える状況ではない気もしますが……『The New Yorker』には憧れがあります。
新潮(杉山)
最近は移動中によく音声コンテンツを聴いています。一つおすすめを挙げるなら、会員制サイト「品品団地」内の「団地ラジオ」。ジャンルレスでありながら芯の通った、古き良き雑誌的な面白さが実現しています。
Q13.この10年で文芸シーンに起こった最も良い変化は?
文藝(坂上)
多様性が広がったこと。作品が海外に翻訳される機会が増えたこと。
群像(戸井)
(その善し悪しはおいておくと)SNSの存在が、小さな声も(時に)拾い上げてくるようになったこと。
文學界(浅井)
世界で現代日本文学が読まれるようになったこと。作家も編集者も女性が増えたこと。『文學界』に限って言えば、校了が深夜ではなくなったこと。
新潮(杉山)
マイノリティによるアイデンティティ・ポリティクスとしての文学が市民権を得たこと。物語の形を取ることで伝わる苦しみやプライドはあり、そうした声が小説に刻まれるようになったのは第一に歓迎すべきことだと考えます。
Q14.この10年で文芸シーンに起こった最も悪い変化は?
文藝(坂上)
人手不足。
群像(戸井)
長い不景気と、平気で戦争が起きる世界になったこと。あと、匿名の悪意の蔓延。
文學界(浅井)
書籍の出し方・売れ方の多様さが失われつつあること。独立系書店や出版社が増えているよさもありますが、総合出版社がもっと挑戦的でないといけないなと思います。
新潮(杉山)
上の質問への回答と背中合わせですが、行き過ぎた「当事者主義」。どんな題材を描くにしてもリアリティや身体性は大切ではあるものの、すべてが経験に基づくべきだとしてしまうと、それはそれで想像力が奪われかねません。
Q15.今の文芸シーンに不足しているものは?
文藝(坂上)
小説以外の文芸ジャンル(詩、戯曲、短歌、俳句)の文芸誌への取り込み。
群像(戸井)
この先に現れてくるものだと思います。
文學界(浅井)
いろいろな意味での連携。
新潮(杉山)
マクロな流れをつくったり、同時代の作家を発奮させたりするような批評家の存在。
Q16.2050年の文芸誌はどうなっていると思いますか?
文藝(坂上)
意外と変わらない。
群像(戸井)
紙で、あまり変わってないかも(内容はその時の今)。もしかしたら、文芸誌だけ。
文學界(浅井)
内容も刷新され、すべて電子書籍に……などという劇的な変化が実はないのではないかと思っています。ディストピア的予測でしょうか。
新潮(杉山)
3号先の目次すらまだ何も見えていない自分のような人間には、25年先の未来などまったく予想がつかない。スカして言うわけではなく、単に能力的に、「現在」と真剣に向き合うことしかできないと思っています。
Q17.ゼロから文芸誌を立ち上げるとしたら何をしますか?
文藝(坂上)
リニューアル時に円城塔さんから雑談で提案された絵巻物スタイル。各文芸誌をまとめたアプリ(過去の連載も読める)。
群像(戸井)
村をつくっていくように、一人の作家とじっくり対話して、数珠つなぎ式(テレフォンショッキング式)に増やしていく、とか。
文學界(浅井)
海外の同世代の本好きと話しながら、何かつくってみたいです。
新潮(杉山)
予算を気にしなくていいなら、アプリの開発をしてみたい。例えば自作朗読のアーカイブや、特定の作家の全テクストを学習したAIによる人生相談コーナーをつくったり……それが面白いものになるのかは分かりませんが。
Q18.文学の面白さはどこにあると思いますか?
文藝(坂上)
人間との出会い。
群像(戸井)
正解やゴール、結果、というようなものがそぐわないところです。
文學界(浅井)
書くのも読むのも一人でしかできないところ。
新潮(杉山)
読書を通じて、未知の自分と出会えること。どなたの発言だったかは失念してしまいましたが、「純文学は喜怒哀楽に訴えかけるものではなく、新たな感情を呼び起こすものである」という定義を大切にしています。
Q19.文芸誌の面白さ、魅力はどのようなところにあると思われますか?
文藝(坂上)
知らない書き手や言葉に思いがけず出会えること。
群像(戸井)
文章や言葉、想像力に信をおいて生きている人たちが集まっているところ。「雑」多なマーケット、闇市、夜市、旧市街。
文學界(浅井)
毎月4誌、時には5誌がほぼ同じ日に出て、読み比べができるところ。
新潮(杉山)
作家はもちろん、どんな人間も言葉によって世界と固有の関係を切り結んでいます。それを結晶させたのが文芸誌で、仮に1号に30名の寄稿者がいたら、30通りの言葉のレンズで世界を感じることができるはずです。
Q20.他誌の文芸誌編集長に訊いてみたいことは?
文藝(坂上)
自分の好みと作品の善し悪しの判断、どうバランスを保ってますか?
群像(戸井)
全体で何かやるとしたら、何かやりたいことはありますか?
文學界(浅井)
小説以外で好きなものは何ですか。
新潮(杉山)
もし文芸編集者になっていなかったら、今どこで何をしていると思いますか?
群像
みる、よむ、おもう──「やわらかく考える」人たちと歩む日常

発売日:毎月7日
定価:1,500~1,650円
編集長:戸井武史
創刊:1946年10月
連載作家:阿部和重、いしいしんじ、井戸川射子、円城塔、高橋源一郎、ブレイディみかこ、保坂和志 町田康、松浦寿輝、ほか
1946年創刊の『群像』は、2019年に「文」×「論」をテーマに大きくリニューアルをしました。まず「見た目」。デザイナーの川名潤さんと六月さんによって、表紙だけでなく中面まですべて、しかも美術館のように毎月デザインが変わる仕様に(現在本文がデジタル印刷になりカラーも使えます)。そして「内容」。「文」(=文学/小説)と「論」(=思想/批評/ノンフィクション)をかけあわせることで、文芸誌ですが総合誌の方向へと大きく舵を切り、雑誌としての幅=「雑」味を拡げました。「文」「論」の素晴らしい書き手にくわえて、いまの『群像』の大きな魅力となっているのが、そのあいだにあるエッセイたち。文芸誌は「堅い」「難しい」というイメージが先立ちがちですが、読み手の多くがこのエッセイを入り口にして、思考のヒントにしています。それらのエッセイは、より「やわらかく考える」=ひらがなのような感覚に満ちているからかもしれません。「みる」(=デザイナー)、「よむ」(=書き手)、そして「おもう」(=読み手であるあなた)──このやわらかい思考のトライアングルをぜひ体験していただきたいです。
(編集長・戸井武史)
新潮
伝統と革新の交差点で、作家の声に耳を澄ます

発売日:毎月7日
定価:1,200円
編集長:杉山達哉
創刊:1904年5月
連載作家:市川沙央、小山田浩子、梯久美子、重松清、高山羽根子、千葉雅也、辻原登、宮本輝、ほか
創刊から122年目を迎え、現役の商業文芸誌としては世界一古いという説もある『新潮』ですが、保守を自任しているかというと決してそんなことはありません。伝統を継承しつつ、既成の価値観を揺さぶる革新的な文章表現を貪欲に追い求めること。そこにしか活路はないと考えています。我々が原稿を依頼するのは作家に限らず、同時代のあらゆる分野の才能を見据えていますが、共通して期待するのはご自身にとって今もっとも重要な事柄を「作品」へと昇華していただくことです。このことに決着をつけねば先に行けないという問題に、言語によってアプローチする。今年掲載した中西智佐乃「橘の家」も間宮改衣「弔いのひ」も、まさにそうした全身全霊で書かれた小説でした。編集者の役割は、作家たちの切実な声に耳を澄まし、最大限引き出すための指揮者のようなものでしょうか。そして、人生をかけて書かれたテクストの熱は、必ず読者にも伝わります。言葉ですぐに世界を変えることはできないとしても、世界の捉え方を変えることはできる──少々青臭いかもしれないものの、そんな思いで日々、目の前の原稿と対峙しています。
(編集長・杉山達哉)
文學界
まだ見ぬ言葉と出会う場所であってほしい

発売日:毎月7日
定価:1,200円
編集長:浅井茉莉子
創刊:1933年10月
連載作家:松浦寿輝、井戸川射子、津村記久子、藤野可織、鈴木涼美、松尾スズキ、ほか
『文學界』は菊池寛が創設した文藝春秋が、小林秀雄らが創刊した同名の雑誌を引き継いで発行している文芸誌です。小説を読むことは、知らない世界や自分と出会うことだと思いますが、文学に関わる人たちの文章や発言が詰め込まれた文芸誌は、まだ見ぬ言葉を読んでしまうかもしれない可能性に満ちていてほしい。その思いで、毎号、創作や特集を掲載しています。第130回を迎えた文學界新人賞では、第1回の石原慎太郎「太陽の季節」を皮切りに、松浦理英子、吉田修一、長嶋有、絲山秋子、藤野可織、円城塔、九段理江など各氏、多様な才能を輩出してきました。また、編集者それぞれの興味を形にした特集では、「短歌」「エッセイ」など小説以外の文芸に焦点を当てたものや、「ファッション」「お笑い」「JAZZ」など多様な視点からの企画を積極的に行っています。近年の小説では、村田沙耶香さんの『コンビニ人間』や市川沙央さんの『ハンチバック』など世界に羽ばたく作品も生まれています。書くという、たったひとりの営みが、どこまでも深く広い世界に繫がっている面白さを、読んでくださる方と分かち合いたいです。
(編集長・浅井茉莉子)
文藝
世界文学の地平から、日本文学を再起動する

発売日:季刊(1月・4月・7月・10月の7日)
定価:1,540円
編集長:坂上陽子
創刊:1933年11月
連載作家:町田康、皆川博子、柳美里、円城塔、岸本佐知子、いとうせいこう、岸政彦、ほか
『文藝』は、世界文学としての日本文学の“いま”を届ける文芸誌です。国内にとどまらず、世界とつながる視点から、新しい文学を紹介し続けています。1933年の創刊号には、ゴーリキーの書き下ろし作品が掲載されました。そもそも『文藝』が切り拓(ひら)いてきた日本文学の歴史は、古くは中国から、近代ではヨーロッパやロシア、アメリカなど諸外国からの文学に多大な影響を受けながら発展してきたものです。1957年の休刊を経て、1962年に河出書房新社より復刊された際の編集長は坂本一亀(坂本龍一氏の父)。復刊以降は、江藤淳『成熟と喪失』、吉本隆明『共同幻想論』、古井由吉『杳子』、中上健次『枯木灘』、松浦理英子『親指Pの修業時代』などの名作を掲載する一方、『文藝』の背骨である公募新人賞「文藝賞」からは、高橋和巳、田中康夫、山田詠美、長野まゆみ、綿矢りさ、羽田圭介、若竹千佐子、宇佐見りん、遠野遥、安堂ホセらを輩出。赤坂真理、柴崎友香、中原昌也も『文藝』でデビューしました。常に「新しさ」と「時代への挑戦」をモットーに、伝統の更新を試みてきた『文藝』は、これからも驚きと発見に満ちた、次代の文学を切り拓く誌面づくりに励みます。
(編集長・坂上陽子)