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奇妙キテレツでかわいい絵本『ぽんちうた』の世界。死後くんのアイデアソースを拝見

妖精なのか、妖怪なのか、見れば見るほど謎が深まるキャラクターたちが織り成す、奇妙キテレツでかわいい『ぽんちうた』の世界は、どのように生まれたのだろう。「イラストレーター死後くんの絵本『ぽんちうた』の奇妙な世界」も読む

Text&Edit: Asuka Ochi

死後くんが絵本『ぽんちうた』の
ヒントにしたものを見てみよう

まずは、世田谷区経堂の文具店〈ハルカゼ舎〉でのカレンダー展のために作った死後くんによる『SIGO CALENDAR 2021』。これが『ぽんちうた』のきっかけになったという。

ぼんちうた 死後くん
5月には、生け贄をくわえたへびがみさまの歌が添えられている。

「なんとなく季節感のあるイラストに言葉をつけた、今回の絵本のもとになった作品です。これを見た出版社の方に、ぜひ絵本を作ろうと声をかけてもらいました。でも、まさかこれが、きちんとしたかたちになる日が来るなんて」

普段から仕事場のパソコンの周りや部屋の中に、小物をたくさん飾っている。だるま、たぬき、わらべなどの置き物や、カニのぬいぐるみなどなど……。

「古道具屋さんやネットのショップなどで、ちまちました置き物やぬいぐるみを見つけると買い集めています。こういうキャラクターがモチーフになって、絵本の中にちらほら登場しているので見つけてみてください」

明治大正期に活躍した演歌師の添田唖蝉坊と知道の世界を、パーカッショニストで現代音楽化の土取利行が歌い、現代に蘇らせたアルバムにもインスパイアされた。時代の風刺に溢れた歌詞を、独特の節回しで歌っている。

ぼんちうた 死後くん
2枚組にストライキ節、あきらめろ節など、全27曲が収録。

「こういう古い日本の民謡や、○○節みたいなものが好きで、よく聴いているので、影響を受けていると思います。詞は強烈な内容だったりするのですが、それをスチャラカスチャラカというような楽しげな節で歌っていたりするので、聴き心地がのんきでいいんですよ」

ぼんちうた 死後くん
絵本には、カニやスチャラカなどのアイデアソースが散りばめられている。