詩人たちの本
選んだ人:岸波 龍(〈機械書房〉店主)、熊谷充紘(〈twililight〉店主)
国内
『する、されるユートピア』著/井戸川射子
詩があった、それで良かったです、
「ニューワールド」より
体だけでは感動を与えられないから

『冬の森番』著/青野暦
ごはんを食べて、反復に満ちた味気のない会話をしていたい。
「天国と地獄」より

『ハイドンな朝』著/田口犬男
詩になると円になる
「詩 Ⅴ」より

『きみと猫と、クラムチャウダー』著/佐々木蒼馬
街灯が小刻みに点滅していることにはもうずいぶんまえから気づいていた
「帰途」より

『皆神山』著/杉本真維子
わたしが何かしたか。
「室内」より

『あかるい身体で』著/海老名絢
ビニール傘越しにビルの光が滲む
「身体を流れる」より

海外
『かつらの合っていない女』著/レベッカ・ブラウン、絵/ナンシー・キーファー、訳/柴田元幸
いつかある日
「いつかある日 THE FUTURE」より
わたしたちはみな
同じことを知るだろう。

『まるで魔法のように ポーラ・ミーハン選詩集』著/ポーラ・ミーハン、編訳/大野光子、栩木伸明、山田久美子、河口和子、河合利江
未来は
「握りこぶし」より
今や澄みわたって空っぽ
まるで空のよう

『思い出すこと』著/ジュンパ・ラヒリ、訳/中嶋浩郎

こうしてわたしは死者となる。
「昔は空港で胸が躍った」より
『わたしたちの登る丘』著/アマンダ・ゴーマン、訳/鴻巣友季子
だからといって、完璧な国を求めて励むのではない。
「わたしたちの登る丘」より

『引き出しに夕方をしまっておいた』著/ハン・ガン、訳/きむふな、斎藤真理子
しんしん降る 悲しい雪
「血を流す目 2」より

『赤の自伝』著/アン・カーソン、訳/小磯洋光
その先は時を刻む悪夢の赤いタクシー
「赤い肉、ステシコロスの断片」より
