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職人が手だけで編み上げた工芸品。本場エクアドルで製作される沖縄〈ORRS〉のパナマハット

好きなものをとことん極めるため、作り手のいるエクアドルへ。オリジナルの、正真正銘の「パナマハット」がここにある。

photo: G-KEN / text & edit: Naoko Sasaki

沖縄の北谷町(ちゃたんちょう)・砂辺地区。佐藤陽介さんがホテルを併設したオリジナルアイテムを扱う店〈オールズ〉を開いたのは2016年のこと。

「本当に好きなものだけを作って売る店を開きたくて。パナマハットに白い服という一番好きなスタイルが似合うこの場所を選びました」

本来エクアドルとコロンビアでしか採れないトキヤ草という植物の繊維を、エクアドルで加工したものだけを「パナマハット」と呼ぶことができる。〈オールズ〉だけのオリジナルを作るためエクアドルへ渡った。

「パナマハットは細く裂いた繊維を職人が手だけで編み上げる工芸品。国の産業なのでトキヤ草は輸出が禁止されているほど。エクアドルで編み手さんのいる町に行き、お会いしてお願いして。信頼関係がないとできないことなんです」

それ以降、自作のデザイン画をアスアイ県という山岳地帯とモンテクリスティという海沿いの町に送り、2拠点でパナマハットを製作する。

沖縄の暮らしに馴染む唯一無二のデザイン

「作るのは、クラウン(被る部分)に1本筋の入った“オプティモ”1型のみ。編み方、透かしの模様、ブリムの長さや形をデザインしています。特徴はリボンの代わりに帽子の周囲に同色のロープを巻いていること。よりカジュアルに被れるし、どんな服にも合います。暑い日に被れば日陰にいるように涼しいんです」

パナマハットの魅力を聞くと。「人の手でないと作れないし、編み手の力量がそのまま表れる。品質は繊維の細さを表すグレードで示され、数字が大きいほど細かくて軽い。グレード34だと1個編み上げるのに半年かかる。職人さんを尊敬しているし、すごく尊いものですよね」。

エクアドルから入荷するのは年に1度だけ。「始めて7年、被ってくれる人も増えて、地元に愛されているのを感じます。スーべニアのように、沖縄の思い出とともに持ち帰ってほしい」。

最後に、大人の必需品とは?「デイリーに愛せて、変わらないもの。それを知っているのが大人かな。いつも同じ格好してるねってよく言われるけど、それがいいんです」。