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休む

詩人・最果タヒの心を開放した “オープンマインド”な旅、本、音楽

あえて自分を縛る旅のルールを作ることで自由を手にした人、思考を肯定してくれた本に生き方を支えられた人、ピースフルな民謡の歌詞に勇気づけられた人。オープンマインドといっても、その感覚も人それぞれ。

Photo: Shinichiro Fujita(book) / Text: Tahi Saihate / Edit: Asuka Ochi

感情を動かさずにいる時間
見つけられる心がある

怒りでも喜びでも、一つの感情に集中しすぎると、同時に、自分の心というものを見失った気がして、怖くなります。怒りながら、笑いながら、自分が心から引き剥がされていくように思うのです。感情が、言葉や表情の力を借りて、暴走する。

だから、私はほとんど感情を動かさずに済む時間ほど、心が開放されたと感じます。心は、激しい感情に染まらなくても、いつも自分の芯にあるものですから。ぼおっとしている時ほど、自分の心に接近できる気がするのです。

JOURNEY:地中美術館

モネの絵のために作られた美術館。船に乗り、この美術館を見るためだけに旅に出た日は、私の中で特別でした。感情を飛び越えていくような美しさに直面すると、感情というものがかき消され、生々しく自分が発露するように思いました。

地中美術館
photo:Mitsumasa Fujitsuka

BOOK:芦奈野ひとし『ヨコハマ買い出し紀行』

私が欲しているのはただ退屈な時間ではなく、夕焼けを見つめる時のような、何もかもがないようで、本当は何もかもがすでに満たされているようなあの感覚。この、漫画のように。

芦奈野ひとし『ヨコハマ買い出し紀行』
芦奈野ひとし『ヨコハマ買い出し紀行』(アフタヌーンKC)

MUSIC:荒井由実「ひこうき雲」


音楽は私にとって、何より心を開放してくれるもの。メロディと歌詞が、思考に染み込んでくるように思う。この歌を聴いていると、心の中にある空気が、窓を開けた時のようにすべて、入れ替わっていく気がします

荒井由実「ひこうき雲」
荒井由実「ひこうき雲」(EMI)