感情を動かさずにいる時間
見つけられる心がある
怒りでも喜びでも、一つの感情に集中しすぎると、同時に、自分の心というものを見失った気がして、怖くなります。怒りながら、笑いながら、自分が心から引き剥がされていくように思うのです。感情が、言葉や表情の力を借りて、暴走する。
だから、私はほとんど感情を動かさずに済む時間ほど、心が開放されたと感じます。心は、激しい感情に染まらなくても、いつも自分の芯にあるものですから。ぼおっとしている時ほど、自分の心に接近できる気がするのです。
JOURNEY:地中美術館
モネの絵のために作られた美術館。船に乗り、この美術館を見るためだけに旅に出た日は、私の中で特別でした。感情を飛び越えていくような美しさに直面すると、感情というものがかき消され、生々しく自分が発露するように思いました。
BOOK:芦奈野ひとし『ヨコハマ買い出し紀行』
私が欲しているのはただ退屈な時間ではなく、夕焼けを見つめる時のような、何もかもがないようで、本当は何もかもがすでに満たされているようなあの感覚。この、漫画のように。
MUSIC:荒井由実「ひこうき雲」
音楽は私にとって、何より心を開放してくれるもの。メロディと歌詞が、思考に染み込んでくるように思う。この歌を聴いていると、心の中にある空気が、窓を開けた時のようにすべて、入れ替わっていく気がします