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箭内道彦、エリイ、大根仁「おなやみ相談室」:枯れていくオレ

クリエイティブディレクターの箭内道彦、Chim↑Pom from Smappa!Groupのエリイ、映画監督の大根仁が読者のお悩みに答える連載の第253回。見事に三者三様な回答をぜひご覧ください。お悩み相談も随時受付中。前回の「いきなり家が遠のいた」も読む。

illustration: sigo_kun / edit: Asuka Ochi

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年々仕事が忙しくてプライベートを考える暇もなく、性欲も落ち、夜のあれこれも長らくなくなおざりで、なんとなく常にいた彼女も去りました。家族もいないし、若さも失われて、これからの人生、恋とか性とかってどうなっていくのか考えると不安でなりません。50のオレはこのまま枯れていくのでしょうか……。
(商社勤務/50歳/男)

死後くん_イラスト

箭内道彦

アートディレクター信藤三雄さんとの最初の仕事は1996年、小山田圭吾さんが女装した森永小枝チョコレートのCMでした。2003年にご一緒した時、いただいた言葉が今も宝物であり指針です。

「僕も枯れてるけど、箭内さんも枯れてるよねえ(笑)、その若さで(笑)」。代理店から独立した初年、39歳の時です。11年2月に東大福武ホールでのトークで天野祐吉さんがくださった「僕は隠居。箭内さんもすでに隠居(笑)」もそうでした。「枯れる」は、好きなことだけに没入できる状態。決して怖いことではないですよ。

エリイ

今まで自分主体で動いて調子に乗ってたツケがまわってきた感じですね!そんなおっさんは彼女も勿論去るでしょう。60近い編集者が飲みながら「この年になると周りも自分も上手く生きていける人は殆どいない。舟が沈んで行くようで難しい」と話していたことがずっと頭に残っています。

時間が進むほどに傷や辛さは蓄積されますが人生は丸っとホールで進めていきたいですね。まず文面から滲(にじ)み出る自分本意をやめて身近な他者の役に立ってみたらどうでしょうか。このままだと役立たずのみならずで一生を過ごすのも一興。

大根 仁

確かに50歳は来ますね。精力減退、思考低下、老眼、抜け毛、肌劣化、一気に押し寄せます。抗(あらが)うことなく受け止めるべきでしょうね。

たまに行くスポーツジムには抗いまくりの50過ぎのおじさんがたくさんいます。マシンを使い、サプリメントやプロテインを飲みまくり、健康のため以上の不自然な肉体を作ることになんの意味があるのでしょう?またそういうヤツの話がほんとつまんねえんだ!恐るべくは枯れることではなくつまらなくなることですよ。枯れてなお面白いおじさん。目指すはここでよいのではないでしょうか?

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