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箭内道彦、エリイ、大根仁「おなやみ相談室」:いきなり家が遠のいた

クリエイティブディレクターの箭内道彦、Chim↑Pom from Smappa!Groupのエリイ、映画監督の大根仁が読者のお悩みに答える連載の第252回。見事に三者三様な回答をぜひご覧ください。お悩み相談も随時受付中。前回の「覇気がない」も読む。

illustration: sigo_kun / edit: Asuka Ochi

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自宅1階を仕事場にしていましたが、2年前、近くに仕事部屋という名の趣味部屋を借りてから、急激に家が遠のきました。子供が寝てるかも、明日帰ればいいかとやっているうちにすっかり単身赴任状態に。家族の一体感が薄れた後ろめたさはありますが、正直楽しいです。家族だからって一緒でなくてもいいですよね?
(物書き/36歳/男)

死後くん_イラスト

箭内道彦

その話、よく耳にします。「一緒にいること」の幸せには技術が必要。「一人でいること」にはそれが要らない。会いたい時にいつでも会えるいわば贅沢な単身赴任状態。若かった頃に初めての一人暮らしで得た世界の再現でもありますね。仕事の効率も上がり、パートナーもお子さんもその現状に対して特に異論がないのであれば、こちらが口出しする余地はないです。会えない時間が愛育てるのは郷ひろみさんの「よろしく哀愁」。距離が互いを大切に思い合い直す機会にできたら素敵ですね。家族への感謝と労いも忘れずに。

エリイ

このお悩みが女だったら「え、お母さんなのにそれは良くないでしょ」ってあなたは咄嗟に思いそう。いいですよね?って人に聞いている時点で背中押してもらいたいんだよね。家族だからって一緒にいなくていいし、自分を犠牲にすることはない。人は生きて死ぬのだから。その時間のなかでどう生きるかという姿勢や納得する行動や満足できるかどうか、人として誇りを持って過ごせるかだと思う。別に誰も代わりに人生をやってくれるわけじゃないんだから。クソはクソのまま死んで誰も覚えてなくても恥ずかしいと思う。

大根 仁

僕も仕事部屋という名の趣味部屋、もしくは大人の秘密基地的な場所を持っているので気持ちはよおぉぉくわかります。初めは仕事だけのつもりがソファを買い、テンピュールマットレスを買い、AV・オーディオ機器を揃え、さらにはヴィンテージウイスキーまで……家族持ちの男にはある意味、夢のような空間かもしれません。ただ、その部屋が会社内なので自制を保つことができています。これが完全にプライベート空間なら人の道を外れたことに手を出してしまうかもしれません。気持ちはわかります。自制心を持ちましょう。

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