箭内道彦
うちの飼い犬しじみは10歳。実家のゆずは保健所で命拾いした14歳。大事な家族です。いつか来るその日はいつまでも来ないでほしいと強く願います。英国のことわざがありますが、向き合える自信は僕にもないです。「子供が生まれたら犬を飼いなさい」「赤ん坊の時、良き守り手となるでしょう」「幼年期の時、良き遊び相手となるでしょう」「少年期の時、良き理解者となるでしょう」「子供が青年になった時、自らの死をもって子供に命の大切さを教えるでしょう」。あなたの家の犬は、あなたに出会えてとても幸せですよ。
エリイ
この間、いとこの犬が亡くなりました。皮膚病を患い、何をしても治らなかったのですが元気には過ごしていて、でも歳がやってきました。ある辺りから餌をあまり食べなくなって、叔父が口を開けてペースト状の食べ物を擦り込んでいました。亡くなる3日前にたまたまその犬とたったふたりきりになり、私が「なんて可愛いの」と耳や顎を撫でている間、私たちは白い光に包まれていました。その時は死ぬとは思わなかった。私の犬が死んだ時は、悲しみを乗り越えられず7つの星と名前を彫りました。タトゥを入れましょう。
大根 仁
19歳の頃、一人暮らしのアパートで猫を飼っていました。名前は「カマロ」、我ながら良いセンスです。飼い始めて1年経った頃、2ヵ月ほどNYに行くことになり、その間、友人にカマロを頼んだのですが、帰ってくると姿がありませんでした。友人いわく「3日くらいでいなくなっちゃったよ」。人懐こい性格だから孤独が耐えられなかったのかもなあ……と、申し訳ない気持ちでした。明くる日、近所の酒屋に行くとカウンターの上にカマロが丸まって座っていました。「ニャア」。酒屋の飼い猫になっているようでした。