箭内道彦
書は、礼節、美意識、描画、バランス等々、美の基本であり生きる基盤。少年時代に書道教室に通い段位を取得した自分の現在を書が支えてくれていることは紛れのない事実です。一方、僕の字は、還暦近い金髪の大学教授とは思えぬほどふにゃふにゃ。それが照れくさく、リリー・フランキーさんの達筆がまぶしい。電子メールが普及し人間が字を書く場面が激減しました。でも手書きでしか伝わらない思いは必ずある。手書きのSNSが流行ったら面白いと思います。愛する彼女の字も彼女らしくてきっと素敵なんだと思います。
エリイ
分かります。私も字が汚くてめっちゃ苦労しています。子どもの時のノートも汚いし、今も書く時に指が痛くて辛いです。なので大学の入試のとき以来、字を書くことをやめました。どうしても書かなければいけない住所や名前を除いて。普段は郵便欄にある自分の名前を書くのも嫌なので、人に書いてもらっていました。結婚式の招待状の字も友達に書いてもらいました。もし納得いくような字が書けていたら、財産になっていたし、楽しかったと思う。でも大丈夫!書かなくてもやっていけます。彼女も書かなければいいのです。
大根 仁
今どき野球の譬(たと)えもどうかと思いますが「3塁生まれの人」という言葉をご存じですか? テメエの力で3塁まで辿り着いたわけでもないのに、短打でホームインできちゃう楽勝人生の人ってことすね。あなたの字がうまいのは、3塁に生まれたことによるものです。そりゃ字はうまいに越したことはないと思いますが、個人的には楷書フォントのような字よりも、人の個性を感じられる、フォント化不可能な字に惹かれます。自分の優位性にあぐらをかいて逆に恥ずかしくないんですかね?むしろ彼女にさっさと別れるのを勧めます。
漫画家・堀道広が描き下ろし。〈LIXIL〉のGREEN WINDOWを体感した、ある一家の物語