箭内道彦
「気になる人」「社員さん」「ほの字」「私」といった、あなたの言葉の選び方から滲む自律、冷静であろうとする柔らかな物腰に、逆に狂おしい切なさも感じます。書店という舞台、文学を取り扱う仕事に就いた3人のキャストが織る心模様。彼女のエプロンは何色でしょうか。眼鏡は掛けてますか。シフトを操作する社員さんにもなぜかグッときてしまいますが、引き離されれば余計にあなたの思いは募りますね。「気になる人」が「恋しい人」となり「愛しい人」になっていくその過程。素敵な恋になることを祈ります。
エリイ
下に大根さんが書いてる通り、会ったわけですよ。ミッドタウンのエスカレーターで上行きと下行きですれ違ってさ。君の名は、みたいに。でもなんで私がそこにいたのかまったく思い出せないや。いや、思い出したぞ。友達と写真展を見に行く途中で手土産を買うためにうろついてたんだった。ちなみに、他の人もその子が好きってことは、向こう側にいる見えない大体10人くらいも好きなんじゃないかな。1人の人間が考えることは、多数の人間にもキャッチされるもの。別の社員さんの1人の存在なんて可愛いもんですよ。
大根 仁
ちょっと前のこと。2年ぶりのバナナマンライブと森美術館のChim↑Pom展が気になり、「そういや日村さんにもエリイちゃんにも随分会ってないなあ」なんて思った翌朝、近所を歩いていると前からウォーキング姿の太った男性が……「おお!大根さん!」。なんと日村さんでした。その日の昼、六本木を歩いていると前から金髪のカッコ良い女性が……「あ!大根さんじゃん!」。なんとエリイちゃんでした。「展覧会行くね」「もう終わったよ!」「ごめーん」。あれですよ、気になっている人には会えるっちゅーことです。
漫画家・堀道広が描き下ろし。〈LIXIL〉のGREEN WINDOWを体感した、ある一家の物語