箭内道彦
薄暗い静かな博物館、例えば鎧兜や陣羽織の前に立つと、戦国武将がそこに佇んでいるように感じて心がザワザワします。「怖がる心は、感受する力なんだ」と言い聞かせ、自分を何とか鼓舞します。30年前、大きな借金を残して父が亡くなり、長期で僕が返済しました。ロケの天気が必ずいいのは、僕に申し訳ないと思った父が、成仏せずに僕の周りをウロウロして天候を操作しているに違いないと考えています。見えないものの存在は、自分を脅かすのでなく、守り愛してくれているのだとも思います。
エリイ
いますよ。見えました。シャンプーの間もあなたは鏡に映る頭の向こう側に気をとられているかもしれませんが、浴槽から這い出てます。寝ている間もあなたの鼻の先にいるし、布団からはみ出ている足を掴もうとしています。ベッドの下を覗いてみて下さい。誰もいない部屋にフェイントをかけてぱっと入ってみて。ほっとしたあなたがいますが、さて天井からはみ出てるアレは果たして。360度24時間あなたの周りには何かがいます。しかし、それが何か問題でも?クローゼットの中に人間がいるのとどちらがいいですか?
大根 仁
僕の事務所の作業部屋は、昔から“白いシャツを着た少年が出る”ことで有名です。何人も目撃者がいますが、霊感ゼロの僕は見たことも感じたこともありません。その少年は“ただいる”だけだそうです。部屋で音楽を聴いたり、漫画を読んだり、夜中誰もいない時はAVを観たりを少年も一緒に楽しんでいるのかも。脚本が書けずに唸っている時、ふと思いつくはずのない良いセリフが浮かび、指が勝手に動くことがあるのですが、少年が後ろからキーボードを打ってくれているのかもしれません。これからもよろしくね、少年!
〈グッド グッズ イッセイ ミヤケ〉。ブランドではなく「プロジェクト」だから生まれる未知の面白さ