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箭内道彦、エリイ、大根仁「おなやみ相談室」:刺激がない

クリエイティブディレクターの箭内道彦、Chim↑Pom(チンポム)のエリイ、映画監督の大根仁が読者のお悩みに答える連載の第191回。見事に三者三様な回答をぜひご覧ください。お悩み相談も随時受付中。前回の「自分を生きるって?」も読む。

Illustration: sigo_kun / Edit: Asuka Ochi

結婚2年目です。30歳の嫁と2人でほぼ家にいて、これといって共通の会話もなく、ステイホーム中に『男はつらいよ』を順に観ていた時は楽しかったのですが、50作まで観終わって次に観るものを考えているうち、老後もこんな感じなのかなと思うと、刺激もなく不安になってきました。何かアドバイスをください。
(プログラマー/47歳/男)

刺激がない

箭内道彦

『男はつらいよ』の50作目は、いつか2人で味わう日のために、まだ観ずに大切に取っておいてもよかったですね。BRUTUSのインタビューで、『STAR WARS』を一作も観たことがない理由を問われ、「これから観ることができるという楽しみが自分に残っている」と答えたのを思い出しました。一方でショートケーキは必ずイチゴから食べるようにしています。一秒でも新鮮なイチゴの方が絶対においしいし、辿り着く前に隕石が落ちてきたら食べられなくなるかもしれない。ごめんなさい、全く答えになりませんでした。

エリイ

ステイホーム中に寅さんを見続けるの誰かもやってたの聞いたなあ、誰だっけなあ、ウチのリーダーだっけなあ。老後の不安を持てるなんて明るすぎる未来への希望を持っていて何もお悩みなどないじゃないですか。あなたは生き続ける気まんまん。輝く生への大きな羽ばたき。一年後に死ぬ人は老後の心配を出来ないわけですからとても前向きです。そんなあなたですからなんとなくその都度で寅さんを見つけては生を繋いでいけますね。オススメは焼肉を食べることです。サンチュとライスを頼んでカルビを焼けばさらに輝きます。

大根 仁

『男はつらいよ』を逆に遡っていくのはどうでしょう?そこでおすすめしたいのが、山田洋次が脚本で参加している映画『みな殺しの霊歌』(1968年)。ドラマ版『男はつらいよ』の前年に撮影されたこの作品に『男はつらいよ』の初期設定がほぼあるんです。ヤクザな兄とけなげな妹、荒川沿いの下町、タコ社長のキャラもこの映画で既に仕上がっています。内容は「5人の女が1人の少年を犯すという異常な享楽を目撃した殺人犯が女たちに復讐してゆく」という凄絶なサスペンスなのですが……刺激だけは保証します!