もともと気が小さく、すぐ不安になる性質ですが、中年の危機を迎えて拍車がかかっています。精神安定のためにヨガも始めましたが、むしろ瞑想を糧に雑念と不安が育っていくよう。懐が深く、動じない人間になりたいです。皆さんは漠然とした不安に襲われた時、どう対処していますか?
(映像作家・辻川幸一郎/46歳/男)

箭内道彦
20年前、辻川くんが初めてCMを撮ったのは僕の仕事でしたが、撮影中もずっと不安を口にし続けて、出演者、クライアントも戸惑い、カメラマンも苛立ってきて、僕は辻川くんの口にガムテープを貼りました。隙間からジュースを飲んでましたけどね(笑)。でも、そこが彼の大きな魅力だと思います。だから愛される。本人はキツいだろうけど、愛されることへの税金だと思いますよ。不安は口にするほど育っていきますが、彼のチャーミングでクリエイティブな不安を僕らは聞きたいんですね。需要と供給のバランスは最高です。
エリイ
それについて超観察して過ごしてきました。私の場合、だいたい漠然とした不安に襲われる時は超強度の二日酔いか生理前かタバコを吸いすぎた時のみだって事に。よーく観察してみてください、パターンがあるはずで身体と連動しています。だいたい日本でほぼ幸せに生きてる人たちが特に理由もない漠然とした不安を抱えるのは時間の無駄です。一種の贅沢というか暇というか、「生まれて、すみません」をあなた書けるんですかって感じですね。私はヨガをしないので謎ですが、良く寝て良く休み良く食べてタフを心がけましょう。
大根 仁
「この人は本物の天才!」と、長年憧れ&ウォッチし続けている辻川さんにこんな悩みがあるなんて!いや、気が小さく不安になりがちだからこそ、あれほど緻密かつPOP極まりない映像表現ができるのかもしれません。オレのような人間がアドバイスできることなんぞ一切ございません。それにしてもヨガとは意外。ならばいっそヨガを究めて、雑念と不安が昇華された後の辻川さんの映像作品を観てみたい。ありとあらゆる映像技法を超えた表現が……って、久しぶりに飲みたいですね。例の三茶の店にでも行きませんか?

7月に日本初上陸決定!パリ・オペラ座で話題騒然、アレクサンダー・エクマンの『PLAY』がやって来る!