人の持つ想像力の爆発を時々無性に味わいたくなる
人生のどの時期にどんな作品に出会うかは重要。僕の場合、感受性の豊かな10代の頃にこの作品を観られたことは幸運でした。全くもって新鮮な世界観に強い衝撃を受けたんです。何より心に残ったのは夢の中のパレードの描写。人形たちが気が触れたように陽気な音楽を奏でて練り歩く場面はまさに悪夢（笑）。
ただここで重要なのは、対立構造にあるはずの敵と味方が一様に夢を信じているという点で共通なことです。今敏（こん・さとし）監督ら作り手が、人の想像力は尋常じゃないレベルまで突き抜けられるものだと信じ切っている潔さが美しいですし、クリエイティブの仕事をする身としては勇気づけられました。
単なる勧善懲悪にとどまらない結末もいい。あのはちゃめちゃさを無性に味わいたくなる瞬間があって、たびたび観てしまいますね。
