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「ジャズ」とはプレーヤーのマインドの中にあるもの。ギタリスト・岡田拓郎が語るジャズ

今、ミュージシャンが一番夢中な音楽、それはジャズかもしれない。ロック、ヒップホップ、R&B……音楽家は、その魅力をどう捉えているのだろうか。ギタリスト・岡田拓郎におすすめの3枚とともに大いに語ってもらった。

photo: Wakana Baba / text: Shunsuke Kamigaito

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形式に縛られない大縄跳びのような軽やかさ

10代の僕にとって、ギタリストのデレク・トラックスはヒーローのような存在でした。それまでロックばかり聴いていた自分には馴染みのない彼の不思議な旋律がマイルスやコルトレーンに由来していると知り、興味を持ちました。

ジャズは特定の音楽様式を指す言葉というよりは、プレーヤーのマインドの中にあるもの。あるテーマに対してみんなで対話しながら演奏する過程にジャズらしさがあると思いました。自分の中では大縄跳びのイメージが近いですね。「縄を跳ぶ」というルールの中で、全員がどれだけ自由に楽しめるのか。その軽やかさがジャズの魅力だと思います。

ギタリスト・岡田拓郎

岡田拓郎が選ぶ、おすすめの3枚

Q1:オールタイムベストは?

『Fascinoma』Jon Hassell

『Fascinoma』Jon Hassell
ジョン・ハッセルは現代音楽やインド音楽に影響を受けていて、ジャズの文脈であまり語られてきませんでした。ジャズの定番である「Caravan」をミニマルに演奏する「Caravanesque」など、ジャズのムードを永遠に引き延ばしたようなアンサンブルは、今日でいうところのアンビエントジャズ的に感じます。

Q2:昨年一番聴いたのは?

『Mondays at the Enfield Tennis Academy』Jeff Parker

『Mondays at the Enfield Tennis Academy』Jeff Parker
フリージャズは難解な作品が多いんですが、このアルバムは通底するビートに対して即興的に自由にアプローチしていくような感覚が新鮮で面白かったです。実験的な音楽が苦手な人でも比較的聴きやすいんじゃないかと思います。ジェフ・パーカーはボーダレスに自由なジャズを追求しているところが好きですね。

Q3:これからジャズを聴く人へのおすすめは?

『A Love Supreme』John Coltrane

古今東西、ストイックな内容から“難解なレコード”としてここまで語り継がれている作品はほかに見当たりません。この作品について友達と話したり検証したりすると、いつも思いもしない視点やエピソードを耳にします。“わかりやすく難解と言われる類いの作品”なのかも。間違いなくキャッチーですし。

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