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〈グランカクタス〉〈二和園〉〈中藤洋蘭園〉珍奇植物に出会えるナーサリー Vol.1

何十年も続くサボテン農家や、世界の植物を扱う巨大農園。そんな植物の“託児所”には珍種が多く眠っている。自らの手でこだわって探すなら、ナーサリーがオススメだ。

Photo: Atsushi Ishihara, Chihiro Oshima, Fumiko Kawazoe, Kunihiro Fukumori, Nagahide Takano, Natsumi Kakuto / Text: Chisa Nishinoiri, Keiichiro Miyata, Mako Yamato, Shiho Yoshida

グランカクタス(印西/千葉県)

初心者から玄人まで通う、珍奇植物の宝庫。

植物好きなら一度は名前を聞いたことがあるであろう〈グランカクタス〉は、10棟以上の温室を抱える大型ナーサリーだ。ざっくりとではあるが種類ごとに温室が分けられており、ギムノカリキウムやマミラリア、牡丹、ロフォフォラ等のサボテン類、原種や高級な斑入りを含むハオルシア、そのほか、コーデックス、ユーフォルビア、アガベ、アロエ、ガステリア、エケベリアなど、ありとあらゆる種の植物が揃う。

さらに、国内外様々なナーサリーから仕入れをしているため、あまり市場に出回らない珍種や大型の輸入株が数多くあるのだ。特に人気のコーデックスに関しては、アデニア アクレアータやスピノーサ、ペラルゴニウム ミラビレ、コミフォラ ドレイクブロックマニーなど、マニア向けの種がいくつも。大量の植物の中からレアものを、まさに宝探しのごとく探索するのがここでの醍醐味。植物好きはもちろん、これから始めようという人も、珍奇植物の宝石箱の中で、トレジャーハントに出かけよう。

二和園(佐倉/千葉県)

老若男女が楽しめる間口の広いナーサリー。

高速を降りて路地から路地へ、少しばかり道に迷いながらも到着した〈二和園〉。「よく来たね、上がってお茶でも飲んでいきな〜」と優しく迎え入れてくれたのは、この道60年越えの大先輩で、代表の向山幸夫さん。奥行き30mほどあるハウスが6棟あり、その奥には立派な自宅兼事務所が。どのハウスも奥までびっしりと多肉植物が並ぶ。エケベリアやハオルシアが中心で、女性客も非常に多いそうだ。それもそのはず、エケベリアのメキシカン ジャイアントを、日本で初めて紹介したのが向山さんなのだ。

比較的園芸種や普及種が多いけれど、中には珍しい植物が眠っている。そして何より安い(1鉢¥100から販売)!この時はアロエ ラモシシマとアローディア プロセラが、なんと2つで¥1,000。そして育て方についても「植物はもともと外に生えているんだから、適度に水やって、風にさらしておけばいいんだよ」とワイルドに教えてくれた。これから植物栽培を始めようという人にオススメの農園だ。

中藤洋蘭園(国分寺/東京都)

華麗な花と肉厚葉が集う、めくるめく蘭の世界。

「趣味で集めていた蘭が増えてしまい、いっそのこと会社にしてしまおうと思って」と、代表の中藤保孝さんが約30年前に突然脱サラ。1坪の小さな温室から蘭生産をスタートした〈中藤洋蘭園〉。切り花用のコチョウラン、カトレア、オンシジュームの生産から始め、現在は数千種類もの原種洋蘭の生産と蘭展などのイベントも行う専門ナーサリーに。

「蘭は育てるのが難しいという印象があるけど、大切なのは水、風、光、湿度の4要素。育て方やわからないことはなんでも相談に乗りますよ」と中藤さん。ビニールハウスは全6棟。可憐な花を咲かせるタイガーテイルやフレキシオサム、珍しいスネークオーキッドなどの切り花生産の棟、鉢売り用や株の姿で楽しむためにコルク付けした大株の蘭、多肉植物などを集めた棟、そして、ほぼ中藤さんの趣味の空間と化しているという交配用の棟と、用途に応じて使い分けられている。春と秋には“蘭遊会”も開催され、愛好家が集う人気の蘭園だ。