アメリカ人男性の理想をさらりと皮肉る
7、8年ほど前に知人のデザイナーが近所のスタジオを引き払うことになりました。その跡地で見つけたのが大量のデニム。これだ!と思いました。それまでもアメリカを象徴するものとしてパペットの映画や、実際に動く電車を制作していました。そんな頃、デニムほどにアメリカンなものはないと気づかせてくれたんです。
強く意識しているのは「男性はこうあるべきだという風潮」。例えばドナルド・トランプは自分の利益のためだけに動き、徹底的な個人主義者で、思いやりに欠ける。でもアメリカにおいては一つの理想でもある。それゆえの居心地の悪さが制作の動機にもなっています。
その理想に押しつぶされて心を病むことはない。むしろ冗談として扱うくらいの感覚で付き合っていけるようになればいいと思うんです。制作も真面目一辺倒ではなく、ユーモアの心を忘れずにいたいですね。