女優、歌手として活躍し、2023年7月に76歳で世を去ったジェーン・バーキンが残した自伝的作品、『ジェーン・バーキン日記』が2025年12月2日に刊行された。
『太陽が知っている』(1969年)や『ドンファン』(1973年)、『ラ・ピラート』(1984年)など、数々の名作映画を彩り、歌手としても活躍。エルメスのアイコンバッグ「バーキン」の由来として知られ、不朽のファッションアイコンでもある、ジェーン・バーキン。
彼女が11歳の少女時代から約60年間にわたり書き続けていた日記に、2016年から2019年にかけて、自身が当時を振り返りながら大幅に追記。メディアでは決して見られない、語られることのない、ジェーン・バーキンの本当の姿が随所に感じられる「自伝」とも呼ぶべき作品だ。
フランスでは上下2巻に分かれて販売されたものを、今回日本での出版にあたり2冊セットに。さらにポストカードやノートも付いた豪華版となっている。
そんな本作で綴られるのは、恋人や家族との時間を心から楽しみ、表現者として仕事へ誠実に打ち込むジェーンの様子。一方で、華やかなキャリアや交友関係の陰で悩んだ人間関係や、自分の容姿に対する自己嫌悪。晩年に向き合った病との闘いなど、苦悩や悲しみについてもが赤裸々に語られている。
また、絵が得意だったジェーンによるデッサンやコラージュ、手書きの日記などの図版も多数収録。読んだ本や観た映画のこと、脚本の構想や、時折のぞかせる哲学的とも言える思考、ユーモアから彼女の独自のセンスを垣間見ることができる。
今まで、パートナーであった音楽家・映画監督・俳優のセルジュ・ゲンズブールの男性視点で語られることの多かったジェーン。そのパブリックイメージをいい意味で覆す、本人の自立の意思がうかがえるものになっているはずだ。




