名店、復活。場所は替われど、棚作りは変わらない
建物の老朽化のため2022年に休業した〈古本遊戯 流浪堂〉が、約2年を経て再出発を果たした。棚の大半は約1年半かけて構想・製作したオリジナルだ。「本棚というよりも、大きな箱の集合体のイメージなんです。高さは雑誌が収まるくらい、奥行きは単行本が前後に2列並べられるくらいのサイズでオーダーしました」と、店主の二見彰さん。本の並びも、1箱単位で考えるのが基本だという。
「ざっくりとテーマを立てて、連想ゲームの要領で本を並べます。頭の中と同じように、ランダムで未完成然とした方が面白い。だから、大小様々な本が集まるのは大歓迎です」。一目で棚のテーマが掴(つか)めるよう、前面にはポップな本を配置。長年にわたり磨き上げられてきた職人技だ。
その起源は1990年代に遡る。「振り返れば、最初に働いた古本屋〈湘南堂ブックサーカス 綱島店〉での経験が大きいですね。ポスターなど本以外の商品もあり、並べ方にルールはなくて。その自由な空気が反映されているのかもしれません」。歴史を受け継ぎ、今なお脈を打ち続ける、さながら無形文化遺産のような棚なのだ。