小国のような
個性溢れる3つの島巡り
八重山諸島の旅は玄関口である石垣島から始まる。まずは島を一望するために、バンナ岳にある〈南の島の展望台〉で大パノラマを満喫。
島のB級グルメ「オニササ(おにぎりとささみカツが一体化したもの!)」で小腹を満たし、川平の海を見下ろす高台にある陶芸家・山口晋平さんのアトリエ兼ショップ〈てまひま〉へ。
山口さんは与那国島出身だが、現在、石垣島に移住し作陶。この島は手仕事の文化が根づいているので、最近は本州からの移住者も増えているという。「自然とカルチャーのバランスがいい。外部からも受け入れる。それが石垣島のいいところ」
翌日、向かったのは小浜島。一面サトウキビ畑で、島の周囲が16㎞という小さな島だが、ラグジュアリーなリゾートホテルもあって、素朴さとセレブ感が一つになったユニークな島でもある。ここでカフェを営むのが〈カナンコーヒー&ベイクストア〉の白上大樹さんと桃子さん夫妻。
2人はこの島の魅力を「どこにいても海が見える離島らしい離島。大岳から八重山の島々を眺めるのもおすすめです」と教えてくれた。
小浜島を後にして、いよいよ西表島へ。西表島は石垣島から高速船で35〜40分。
到着すると、ねっとりとしたジャングルの空気に包まれ、これまでの島と様子が違うことに気づく。島の面積の90%が原生林、大小40以上の川と広大なマングローブ林が広がる「日本最後の秘境」と称される。
出迎えてくれたのは宿泊先の〈西表島ホテル〉のアクティビティマネージャー堀之内辰朗さん。西表島の魅力は何といっても「多様性」だという。「イリオモテヤマネコをはじめ稀少な動植物が数多く生息しており、生き物の種類がここまで多岐にわたる島は日本のどこにもない。手つかずの自然の中でダイナミックに遊べます」。
アクティビティが盛りだくさんということで、今回はナーラの滝を見に行くツアーに参加。
白浜港から仲良川上流へと船で行き、その後は30分ほどのジャングルトレッキング。急勾配で人幅ほどの細い山道を歩き続けた先に、ご褒美のような滝の絶景が。汗だくになった体はそのまま滝壺へドボン!
帰りはトレッキングと、マングローブ林から海までのカヤックで3時間かけて帰る。なまった体にはいささかハードだが、こんなダイナミックな自然遊びはほかでは体験できない。堀之内さんは西表島の自然が好きすぎてプライベートもアウトドア三昧だと笑う。
「それでもまだ見たことのない場所がたくさんあるんですよ」
八重山諸島はそれぞれが小国のように個性的で景色も全く違う。ならば本能の赴くままに足を運べばいい。
すべて受け止めてくれる懐の深さもまた、この島々の魅力なのだから。