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〈エンダースキーマ〉柏崎亮にとっての古民家と生活道具。価値を上書きした、自分だけのアーカイブ

かっこいい大人は今何に惹かれるのか、ファッションを舞台にする〈Hender Scheme〉 デザイナー・柏崎亮が、新たに集め始めたアーカイブは、スタイルやクリエイション、さらには生き方にまで大きな影響を与えていた

photo: Kenta Sawada / text&edit: Keiichiro Miyata

価値を上書きした、自分だけのアーカイブ

「プロダクトは、人が使って、その人なりの完成品になっていく」これは、柏崎亮さんがものと向き合ううえで大事にしている考え。都内から約1時間の場所にある別宅はそんな哲学で溢れていた。

「息子たちはトトロの家と呼んでいます。敷地の手前には枝が絡みついた緑のトンネルがあって、その先にあるのが築130年のこの家。4年前から、週末をここで過ごす2拠点生活を始めました」家の中には、〈エンダースキーマ〉のプロダクトと、さまざまな時代の生活の道具が肩を寄せるように置かれている。

「昔から、みんなにとって価値のあるものよりも、自分にしか価値のないものにワクワクしていました。相対的な価値よりも主観的な価値観を今も大事にしています」その考えを象徴するのが、玄関に飾られた、古道具店で購入した蔵の窓。

「これ(2枚目)は長男が“パパの顔”と言って描いてくれた似顔絵です。古くて珍しいものを愛(め)でる人からしたら、汚れやキズと変わらないかもしれませんが、私にとっては替えが利かないもの。扉の模様が顔に見えたという発想もユニークですよね。こういった、アングルを変えて物事を捉えることで、既存の価値を変換することは、私自身もエンダースキーマでやっていること。その一つであるオマージュラインのワークブーツを、ここではメインに愛用しています。東京では泥がついたら拭っていたのに、ここでは汚れたまま。土に囲まれた田舎で過ごすと、こういった価値観の変様が起こるんですね。まさか庭で摘んだ花を飾る暮らしを送るなんて、東京では想像もしませんでした。自分自身も、やっと田舎暮らしに慣れてきて自然との距離が変わってきたところ。もう少しで、住んで5年。ここをベースに少しずつ新しいことを始めようと思っています」

〈Hender Scheme〉 デザイナー・柏崎亮

2022年9月15日発売No.970 BRUTUS「GOOD STYLE for Mr. BRUTUS かっこいい大人をつくる。」で〈エンダースキーマ〉デザイナー・柏崎亮さんの古民家と生活道具全編を紹介しています。是非チェックを。