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日常の観察から生まれる道具作りの哲学とは?〈POSTALCO〉の書籍が刊行

ファッションの熱が高まるこの季節。コラム通信「Mr.BRUTUS CLUB」では、秋冬のファッション心をくすぐる注目のトピックを、編集部の視点でピックアップ。これを読めば、きっと秋の街歩きが楽しくなる!

text: Minori Okajima

〈ポスタルコ〉の創業25周年という節目に、デザイナーのマイク・エーブルソンとエーブルソン友理による書籍『霧の中の展望台』が刊行。本書では2人が長年続けてきた「観察すること」を軸に、道具や衣服、暮らしの中の違和感をすくい取る視点からの文章が15章にわたって記されている。

「紙を着る」「皮膚のものさし」「ズボンは問題の巣」など、章タイトルそのものがすでに思考の入口だ。身近な現象を見逃さず新しい形を生み出す力は、読み手の創造力も搔かき立ててくれるはず。

造本もユニークで、体の動きに着想を得た蛇腹状の構造により、ページが伸び縮みする。「すべての仕事は未来のバージョンのためのプロトタイプ」というマイクの言葉通り、本というフォーマット自体が、ブランドの思想を表しているようだ。