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〈35SUMMERS〉代表・寺本欣児が選ぶ一本。私の好きなナチュラルワイン

ここ10年で、ワインは難しいものから、一気に私たちに身近なお酒になりました。ナチュラルワインをカジュアルに楽しむワイン好きに聞いた、お気に入りの一本とは?

illustration: Hitoshi Kuroki / text: Maki Kakimoto

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ボトリングされた情熱が、
人を酔わせる。

寺本欣児

敬愛する〈アナトミカ〉創業者のピエール・フルニエと一緒に飲んだ、初めての一本がマルセル・ラピエールのモルゴン。「高いから良いってわけじゃない。造り手が情熱を持って造るものが良いんだ。服と一緒さ」と言われて。その一言で彼のセンスの真髄に触れた気がします。

後から知ったけど、食事をしたのは多くの生産者が集い、ヴァンナチュールの世界で有名な、パリ20区のビストロ〈ル・バラタン〉。そこにピエールが通っているように、こうしたワインを扱うところには変わった人が集まる。店主も客も、みんな職人肌で、何に対しても一家言あって、クセが強い。

日本でもそう。そんな人たちと話をするのが楽しくて、5人で集まって20本は空けてた。情熱がボトリングされているようなものだから、熱が伝播してつい長くなっちゃうのかもしれない。翌日は本当にひどい二日酔いなんだけどさ(笑)。

マルセル・ラピエール モルゴン
マルセル・ラピエール モルゴン/「ナチュラルワインの父」と呼ばれるマルセル・ラピエール。現在は長男のマチュー・ラピエールが造り手。ドメーヌの定番で、ガメイ100%。「水のように飲める赤のど真ん中。最初飲んだ時は奇妙な香りと果実味のワイルドさに驚いた」

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