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星野概念が選ぶ一本。私の好きなナチュラルワイン

ここ10年で、ワインは難しいものから、一気に私たちに身近なお酒になりました。ナチュラルワインをカジュアルに楽しむワイン好きに聞いた、お気に入りの一本とは?

illustration: Hitoshi Kuroki / text: Maki Kakimoto

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好みの日本酒に通じる味が、
ワインの道を拓いてくれた

星野概念(精神科医など)イラスト

よく飲むイタリアワインのなかでも圧倒的なのが、フリウリ州にあるヴォドピーヴェッツ。もともと熱燗派だったんですが、荒木町のバー〈HIBANA〉でこれを飲んで、石川達也さんが杜氏をしていた竹鶴の日本酒を飲んだ時ととてもよく似た体の喜びを感じたんです。

こんなワインがあるのか!と驚いて、蔵の写真を見て納得しました。その神殿のような厳かさは、石川さんの酛場にもそっくりで。さらに、造り手のパオロ・ヴォドピーヴェッツも石川さんも互いのお酒に惹かれて蔵を行き来したそうで、それぞれの蔵で櫂入れをさせ合ったというエピソードも聞きました。

パオロはあまり櫂入れをさせないそうなんです。それほど響き合っている2人が、共通する哲学で造った酒なんだなと。竹鶴が好きになって熱燗の道が拓けたように、ヴォドピーヴェッツは僕をナチュラルワインへと導いてくれたお酒です。

ヴォドピーヴェッツ ソーロ
ヴォドピーヴェッツ ソーロ/パオロ・ヴォドピーヴェッツが1994年に畑を受け継ぎ、97年に始めたワイナリー。イタリア・フリウリでも土の少ない石灰岩台地で育てられたヴィトフスカのみを使用。「奇を衒わず、造りに徹する姿勢も、竹鶴に通じるのかなと思います」

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