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まるで化粧水?一度入ったら忘れられないリッチな“浴感”。名湯の宿〈奈良田温泉 白根館〉

温泉と一口に言っても、湯の色や香り、肌触りなど千差万別。そうした「浴感」こそが、温泉の個性と魅力を形作る源なのだ!

photo: Kasane Nogawa / text: Yuriko Kobayashi

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奈良田温泉 白根館(奈良田温泉/山梨県)

一度入ったら忘れられない!
化粧水に浸るようなリッチ浴感

「日本一人口の少ない町」山梨県早川町。その最奥にある集落・奈良田に、古くから「七不思議の湯」と呼ばれる温泉がある。「重い病気も治る」「子宝に恵まれる」。七不思議とはその湯に浸かった人に起きた不思議な出来事が由来なのだ。

あまりの山深さから観光客向けの民宿などなかった奈良田の地に、この名湯を現代に伝えようと温泉宿を作ったのが、奈良田温泉白根館の創業者だった。

「ここの湯はね、一度入ったら忘れられないですよ」と、2代目当主の深沢守さん。まず驚くのは温泉臭の強さで、硫黄泉とは聞いていたが、これほどの強さは初体験。深沢さんいわく「臭いの強さは毎日違います。湯の色も刻々と変化して、白濁、無色、青、緑とさまざま。その仕組みは、まだ誰にもわからないんです」。

今日の湯は緑。濁りはなく、手を浸けてみるとさらりとした肌触り。が、全身を浸してみると、ん?とろんと湯が体にまとわりついてくる。これはもう化粧水に浸かっているんじゃないかというほどリッチな肌触りで、入浴後の肌はパック直後のようにうるっと水分を保つ。

「一度入ったら忘れられない」とは誇張ではなく、部屋に戻るとすぐ、「また入りたい!」という欲求が湧く。あの化粧水に包まれるような心地よさをもう一度……。結局1日6回も浸かってしまった。

夜はランプが灯る露天風呂
夜はランプが灯る露天風呂。一日のうちでも刻々と色が変化する不思議な湯だ。

ところで、数ある硫黄泉の中でもなぜこの湯はこれほどにリッチな浴感なのか。ご主人いわく「うちは含硫黄の塩化物泉ですが、かつ弱アルカリ性というのが肌にいいみたいで。でも、よそにも同じような泉質の温泉はありますからね。不思議としか言いようがありません」。

2日目の朝、湯は青色に変化していた。見て不思議、浸かって不思議、出て不思議。七不思議の湯はなるほどどうして、不思議と感動に満ちた温泉なのだった。

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