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瀬戸内海の島々を望む優美な絶景。名湯の宿 〈瀬戸内リトリート 青凪〉

真っ青な昼の空が、水平線に沈む夕日で刻々と変化し、夜には満天の星が、湯に華を添える。温泉には、息を呑む見事な眺望もある。
初出:BRUTUS No.858『温泉 愛』(2017年11月1日号)

photo: Tetsuo Kashiwada / text: Asuka Ochi

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瀬戸内リトリート 青凪(愛媛県)

瀬戸内海の島々を望む
優美な絶景宿

愛媛県松山市の北東部、標高約250mの高原が広がる伊台・五明地区。そこからさらに登ったところに、もともと私営の美術館に併設していたプライベートなゲストハウスを、7年前、リノベーションしてオープンした、ラグジュアリーなホテルがある。広々としたエントランスには美術館の名残があり、程よい緊張感とともに来客を迎える。

建物の設計は安藤忠雄氏。瀬戸内海に広がる地平線へと繋がるように延びる、長さ30mの屋外プールもシンボリックだ。温泉にステイしながら安藤建築を存分に味わえるスポットとあって、国内のみならず、海外からも多くのゲストが訪れる。

わずか7室の客室は、どの部屋も100平米以上。「青凪」の名を掲げる本館のシグネチャースイートでは、東京スカイツリーの展望台とほぼ同じ高さから、何にも遮られない瀬戸内海を眼下に見ることができる。

天井高8m、一面ガラス張りのメゾネットからの夕景は、海と一体化するかのような開放感があり、鳥肌が立つほど美しい。コンクリートを使ったミニマルなデザインも、見事な眺望を引き立てているかのようだ。天気の良い日には、海岸沿いを走る車や、遠くの方にある小さな島までがくっきり。本館には、貸し切りできる温泉ジャクージ付きプールや、グループ利用可能な4ベッドスイートもある。

一方、別館の5室のうち4室には、ゆったりとお湯を楽しむのにこの上ない半露天温泉が備わっており、新緑や桜、紅葉と、季節ごとの森の変化を楽しむフォレストビュー、窓辺に立てば足元から景色に溶け込むようなパノラマビューと、部屋ごとに特徴のある眺望とともに過ごせる。

温泉の半分は、全身で横たわれる寝湯になっていて、ここで涼しい風を受けながら、まどろむのも優雅だ。刻々と移り行く窓の外の景色を眺めるためだけに訪れてもいいだろう。

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