韓国インディーズ映画界の
ニューウェーブ
———本作が生まれた経緯をお伺いできますか?
ク・ギョファン(以下K)
映画を製作している韓国の国家人権委員会から、青年たちの人生をキーワードに映画を作ってくれないか、と依頼を受けたんです。青年たちの人生はこうと定義することはできないので、少なくとも自分たちが日々感じていることを映画にしようと考えました。
イ・オクソプ(以下I)
本作には、男性からの暴力や盗撮、就職難など、人を信じることを難しくさせるさまざまな悩みが描かれます。実際、若者たちはそういった不安を感じていて、それを軽いタッチで表現することによって、少しはその不安が軽くなるんではないか、と思ったんです。
———若い頃、一番怖かったことはなんですか?
K
明日特にすることがなく、何をしたらいいかもわからないという時が怖かったですね。
I
私が20代から30代前半に一番怖いと感じていたことはすべて映画の中に入っています(笑)。
———今はその不安から解放されたのでしょうか。
I
本作は、韓国で2019年に公開されたので、映画を通して、一緒に観てくれたみなさんと、私が感じていた不安について会話することができたなと。実際、現実は当時から大して変わらなくても、そのおかげで以前よりはマシになったかなと。
K
自分がしたいこと、話したいことを言葉ではうまく伝えられないという思いがあるので、だからこそ、それを映像に変換できる映画というものを作っているのだと思います。
互いの才能を生かした映画作り
———監督として、俳優としてのお互いの魅力をどのように感じていますか?
K
監督は、ある一つの風景を見ても、それを完全に新しいものとして捉えて、それを映像で表現できるところがとても興味深い。例えば、脚本にセリフ以外のト書きが書かれているわけですけど、実際に映像として出力する際に、自分には想像もつかないような表現になっている。その才能が素晴らしいし、かっこいいと思います。
I
この映画に関しては、ストーリー自体もキャラクターも重くなる要素が多い中、ギョファンさんはバランスを取るのが本当にうまくて。作品が立体的になっているとしたら、背景ももちろん作用はしていますが、それ以上にやはり登場している俳優さんたちの力がすごく大きいんですよね。
———現在製作中の、歌手イ・ヒョリさんが主演する新作では、お2人で共同演出もされたそうですが、同じポジションを務めるうえで、意識していることはありますか?
K
お互い得意とする分野が異なるので、より得意な方に任せるようにしています。お互いの短所、長所も状況によって変わりますし、その時々で確信を持っている方が舵を取るべきじゃないかと僕は考えていて。なので、意見が食い違った場合は、声の大きい方に従うようにしますね(笑)。
I
短所があったとしても、長所の方がより生きれば結果的にいいなと思ってます。強要されているわけでもないですし、別々に作品を作る日も来るでしょうから、今は2人で一緒に作品作りができるこの時間を大切にしたいですね。
———ギョファンさんは『D.P. −脱走兵追跡官−』で、百想芸術大賞(韓国のゴールデングローブ賞として知られる)2022のテレビ部門新人賞を受賞されましたが、その人気を肌で感じますか?
K
正直、自分が日本で知られていること自体、不思議ですが、YouTubeのチャンネル登録数が増えたので、多くの方に知ってもらえているんだなと。家が好きなタイプなこともあって、自分人気あるなと肌で感じることは全くないです(笑)。