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長野県はサウナの国。人気の3軒からサウナ事情を探る


標高が高く寒い地域であるため、昔から県民に親しまれてきた「サウナ」。近年、全国的にサウナが増えるなか県内で顕著なのがアウトドアスタイル。人気の3軒から長野県のサウナ事情を探る。

Photo: Kenya Abe / Text: Saki Miyahara

長野の大自然を感じるサウナというツール

長野県はフィンランドと似ている?どちらも美しい川や湖の風景、そこに流れる清らかな水、木々が生い茂る山や森が印象的だ。たしかに自然豊かな長野県と、森林大国のフィンランドには共通点があると言える。

南佐久郡小海町にある松原湖には〈フィンランドヴィレッジ〉という国際交流の拠点となる施設がある。森に囲まれた松原湖の景観がフィンランドに似ていることで建てられた。夏になると、この場所で『SAUNA FES JAPAN』が行われる。全国からサウナ愛好家が集まる人気のサウナイベントだ(新型コロナウイルスのため、2021年は開催中止)。

フィンランドではサウナで体を温めてから湖に飛び込み、大自然の中で火照った体を休める外気浴をするのが定番。長野県には、そんなサウナの楽しみ方ができる環境が整っている。

アウトドアサウナを体験できる場所も増えており、本場さながらのログハウスサウナ、絶景を眺めながら入るサウナ、ポップアップで楽しむモバイルサウナなど、さまざまなタイプが登場。

サウナ後に涼しい空気を吸い込めば、その新鮮さを味わえ、体を天然の水で冷やせば、その水質の良さを肌で実感できる。五感が研ぎ澄まされることで、土地の恵みを最大限感じられることこそ、屋内のサウナにはないアウトドアサウナの醍醐味である。いつものサウナとは一味違う“ととのう”感覚を、長野県で体験してみよう。

The Sauna(信濃町/長野)

アウトドアサウナ人気の火つけ役。

ゲストハウスLAMP野尻湖に併設され、フィンランド式薪サウナを2棟構える。支配人である野田クラクションべべーさんが、「大自然と一体になれるようなサウナをつくりたい」とDIYでログハウスを建設。

2階建てログハウスサウナ
2棟目の〈カクシ〉。野田さんがフィンランドで体験し衝撃を受けたという2階建てログハウスサウナ。

室内を柔らかく温める薪ストーブを導入し、サウナストーンに水をかけ水蒸気を発生させるロウリュをした時に、熱気を浴びやすい位置になるよう椅子の高さも計算されている。

水着を着て入るスタイルで、サウナ好き同士のコミュニケーションの場所としても機能している。サウナの後は、天然の水風呂で体を冷やし、森林や湖を眺めてクーリング。豪雪地帯でもあるので、冬は雪の中へのダイブもできる。

天空のサウナ 梅の屋リゾート松川館(高山村/長野)

標高約1,000mの眺望を楽しむサウナ。

高山村にある山田温泉は、開湯250年の長い歴史を持つ温泉郷。老舗旅館〈梅の屋リゾート松川館〉を引き継いだ涌井貞朋さんは、来客が減少していた旅館に再び活気を取り戻すため屋上にサウナを開設。

ヒノキの香りが漂うサウナ室、13〜16℃と冷たい山の伏流水を湛える水風呂、標高約1,000mの見晴らしの良い場所で、絶景を眺めながら外気浴ができるスペースを完備。

外気浴スペース
外気浴スペースは高山村の魅力を存分に味わえるよう設計。標高の高い場所で澄んだ空気を感じられる。

朝昼には北信五岳を、夜には星空を仰いでリラックスできる。ここではぜひサウナ後に温泉に浸かってみてほしい。汗を流した後の研ぎ澄まされた感覚で温泉に入れば、古くから人々に愛された泉質のまろやかさを、より鮮明に肌で感じられる。

The COSMIC SAUNA(野沢温泉村/北信)

自分と向き合う、一歩先ゆくサウナの形。

代表の高野隼人さんが「大好きなサウナを、自分の好きな場所で楽しみたい」と開発した木造のモバイルサウナ。県内を中心に、さまざまな場所でポップアップを展開している。サウナでのひとときを自分と向き合う時間にしてほしいと考え、『陰翳礼讃』をイメージして設計。

組み木にレッドシダーを使用しているサウナ内部
サウナ内部には組み木構造によって神秘的な空間が広がる。組み木に使用しているレッドシダーのほのかな香りが心地よい。ヴィヒタは、ユーカリを使用。

小さな扉から中に入ると、組み木でつくられた空間に外からの光が差し込み刻一刻と表情を変える。まるで小宇宙が広がっているかのような幻想的な風景だ。室内温度は暑さばかりに意識が行かないよう90℃前後に設定されており、ゆったりと時間を過ごせる。自分の心の声に改めて耳を澄ますような、瞑想的なサウナ体験になるだろう。