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長井短「優しさ告げ口委員会」:超座長な人

演劇モデル、長井短さんが日常で出会った優しい人について綴る連載エッセイ、第28回。前回の「切り上げる人」も読む。

text & illustration: Mijika Nagai

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超座長な人

連ドラの一日は長い。ドラマ『ケイジとケンジ、時々ハンジ。』も御多分に洩れず、朝から晩まで撮影に勤しんでおります(見てネ)。

ハードスケジュールながらも楽しく仕事に通えているのは、なんといっても主演の桐谷健太さんの力が大きい。「主演」という言葉を聞くと、周囲をぐいぐい引っ張っていくような姿を想像するけれど、我らが桐谷座長は一味も二味も違う。

長井短 優しさ告げ口委員会 超座長な人のイラスト


桐谷さんはいつも、私たちのすぐ隣にいてくれるのだ。例えばまだみんなと打ち解ける前、どうやって仲良くなろうか唸っている時には話題を提供してくれる。少し慣れてきた頃には「タンちゃんって呼んでいい?」と言って、私にここでの名前を授けてくれた。呼び名が決まることがどれだけ居心地にとって大切かは言うまでもないだろう。

新しく撮影に加わった俳優に率先して声をかけ、どのセクションの人とも楽しく会話し……待って大回しじゃん桐谷さん。誰よりも忙しいはずの主演が、現場で大回しだと……?働きすぎじゃないかと心配になる。でも同時に、そんな座長だからこそもっと頑張りたいと思うのだ。そう感じているのはきっと私だけではなくて、この作品に関わる全員が「桐谷健太」の旗の下で自己ベストを更新しようともがいている。そうしたいと思わせる座長なのだ。先頭を走るだけが主演ではない。

桐谷さんのようにみんなの隣から隣へ移動し続ける人もいる。なんてかっこいいんだろう。誰も孤独にさせないリーダーは、まさに今、この時代に必要な人だなと強く思って、なんかもう総理大臣とかになってくんないかなと思いながら、今日も座長の元へ行ってきます。

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