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長井短「優しさ告げ口委員会」:ご機嫌な人々

演劇モデル、長井短さんが日常で出会った優しい人について綴る連載エッセイ、第7回。前回の「タクシードライバーの人」も読む。

Text&Illustration: Mijika Nagai

ここ数ヶ月ずっと一緒に過ごした人たちのことを書きたい。現在放送中のドラマ『武士スタント逢坂くん!』で共にハードスケジュールを乗り越えた、濵田崇裕さん、森本慎太郎くん、久保田紗友ちゃん、今井隆文さん、以上4名のラブな役者さんたちだ。

ドラマ撮影はジェンガに似ている。みんなが積み上げてくれたものを台無しにしないよう、より良い次の一手を考えながらタワーを高くしていくのだ。ジェンガが倒れることはなくっても、ぐらりと大きく揺れてしまうことは当然ある。台詞を間違えてしまうこと。時間が押してしまうこと。疲れで体がうまく動かないこと。

その度に、ジェンガは大きくしなるけれど、決して倒れることはなかった。「倒れそう!」の次の瞬間には、誰かがフォローに走り出しているからだ。慎ちゃんは疲れで黙りこくったみんなの為に小噺を披露してくれるし、紗友ちゃんはピリピリした空気に軽やかな笑い声を響かせる。

今井さんはいつも冷静に場を見てくれていて、何がジェンガを揺らしているのかを教えてくれた。そして濵さんはいつでも「頑張りましょ〜!」と誰よりも大きな声で私たちを励ましてくれるのだ。一番疲れているはずの濵さんが、最後まで一番汗をかいているその姿に、どれだけみんな助けられただろう。

長井短 優しさ告げ口委員会 イラスト

4人の大好きなチームメイトは、いつだって誰かのミスに備えていた。何かが起きた時、いつでも自分たちで自分たちの機嫌をとれるように。時々、セルフご機嫌とりのしすぎで「お静かに!」って怒られちゃって、その度に私たちは声を潜めて笑い合った。初夏の匂いの中で私は、誰かと一緒に頑張るってこういうことだなって懐かしさを感じる。

人前に出る仕事をしていると、過剰に気を遣ってもらうことが多い。でも、私たちの仕事は何も特別なものではないのだ。工事現場のおじさんが、歩行者にペコリと頭を下げるのと同じように、私たちはお互いを思いやる。ありがとうとかごめんねとか、助かる~なんて言葉を繰り返しながら、5人で見つめ合う。それは、何も特別なことではない。

それでも、この当たり前のコミュニケーションが置いてけぼりのまま進む仕事も多い世界で、ごくごく平凡に言葉を交わしながら働けることが、私は本当に本当に嬉しかった。あなたが疲れたら、私が頑張るから。今目の前にいるみんなと、一番ご機嫌な自分で過ごすために、小さな小さな思いやりを積み上げて、そうして出来たうちらのジェンガは富士山より高い