植物育成のために特注した
温室の金網シェルフ
商業施設の植栽や住宅の庭を手がける一方で、さまざまなグリーンプロダクトの企画を手がけている造園家の塙麻衣子さん。「植物の育成も大切な仕事の一つ」と、鎌倉にある自邸の一角に温室を作り、エアプランツをはじめとした観葉植物を育てている。
「2004年頃、自宅を改修したときに、大工さんにお願いして2階のデッキの下のスペースに温室を設置してもらいました。それと同時に特注で作ったのが、このグリーンの育成棚です」
デザインのポイントになったのは、棚板の可動性と通気性だ。温室内の空気は、どうしても上の方が乾燥しやすく、下は湿気が溜まりがちになる。同じ植物でも置く場所によって発育に差が生じるため、状態を注意深く観察しながら、頻繁に場所を入れ替える必要があるのだという。
そこで、まずは棚板の上下移動が簡単に行えるよう、壁にガチャ柱と呼ばれる棚受けレールを設置。さらに、水やりと風通しを考え、棚板は金網を木枠で固定したものをオリジナルで製作してもらった。
「これなら、棚から植物を移動させる手間も少なく、そのまま水を撒くことができますからね」
冬は寒気から守るために、庭で育成中の植物も温室内に避難させるという塙さん。壁一面の育成棚は、限られた空間の有効活用を考えてのものでもある。